メラトニンについて
メラトニンの役割
人の脳内には、体内時計機構ともいわれている睡眠・覚醒のサイクル調節機能があります。
体内時計機構とは、簡単に言えば、「夜になると自然と眠気を感じ、朝になると目が覚める」という仕組みです。
体内時計の中心となる役割は、視床下部に存在する『視交叉上核:しこうさじょうかく』が受け持っています。
視交叉上核のパートナーは松果体(しょうかたい)という部位です。
そして、体内時計のリズムを作っているのが、メラトニンです。
メラトニンが、視交叉上核にあるメラトニン受容体にくっつくことで、自然な眠気が出てきます。
メラトニンは、
- 脳の中央部にある松果体から分泌され、睡眠・覚醒サイクルを調整するホルモンです
- 分泌されると、脳の中の特定部位に存在する受容体にくっついて、睡眠作用を現します
- 体内時計に働きかけることで、覚醒状態から睡眠状態へと切り替えます
- 自然な眠りを誘う作用があり、睡眠ホルモンとも呼ばれています
メラトニン発生の仕組み
メラトニンは、松果体で分泌される神経ホルモンです。
人が朝起きて太陽の光に触れると、視交叉上核はそれを感じ取り、脳内の松果体と呼ばれる部分に、メラトニンを作るように命令します。
松果体は命令に従い、メラトニンを作ります。
ただし、作られたメラトニンは、日中の明るい時間帯にはほとんど分泌されず、夜の20時ころになると分泌を始め、真夜中の2時頃にピークになり、明け方に光が出てくると減少していきます。
つまり、
松果体は光に応じて、メラトニンを分泌するのです。
体内時計とメラトニン受容体
メラトニン受容体には、
- M1受容体
- M2受容体
- M3受容体
の3種類があります。
M1受容体とM2受容体は、松果体にだけ存在していますが、M3受容体は全身に存在します。
睡眠に関与するのは、MT1とMT2と言われています。
- M1受容体⇒刺激されると、神経を穏やかにして体温を低下させて睡眠を促すといわれています。
- M2受容体⇒刺激されると、体内時計が同調されるといわれています。
M3受容体には作用せず、M1受容体とM2受容体に作用するように作られたのが、ラメルテオン(ロゼレム)です。
ロゼレムは、2つのメラトニン受容体を刺激することで、睡眠の質を上げて、体内時計のリズムも整えていきます。
つまり、ロゼレムは、メラトニンとほぼ同じ働きをすることで、睡眠を誘発するのです。
ロゼレムによる睡眠が、自然な眠りと呼ばれるのはそのためです。
メラトニンによる睡眠の仕組み
メラトニンは、夜になり暗くなると分泌が盛んになります。
人間は、脳や内臓の内部の温度”深部体温”が低下し、代謝が低下することで眠くなるのですが、メラトニンは、視交叉上核にあるメラトニン受容体に作用し、体温、脈拍、血圧を下げ、眠りを準備します。
ロゼレムは、『メラトニン受容体アゴニスト』と呼ばれる睡眠薬で、睡眠に欠かせないメラトニンと同じような作用をします。
ロゼレムは、
夜になると眠くなるという、自然な眠気を導く睡眠薬なのです。