シナプスの簡単な説明
シナプスは、神経細胞間での、情報の受け渡しの基地です
ヒトの脳には数百億個もの神経細胞があり、これらの神経細胞は、シナプスと呼ばれる接合装置を介してネットワークをつくり、脳の複雑な働きを実現しています。
つまり、人間を含む生物の脳内の情報伝達は、シナプスでの信号のやりとりによって行われているのです。
シナプスによる情報伝達の仕組み・プロセス
シナプスとは、神経情報を出力する側と入力される側の間に発達した、情報伝達のための接触構造です。
シナプスの最も基本的な構造は、シナプス前細胞の軸索末端が、シナプス後細胞の樹状突起に接触しているものです。
つまり、シナプスには突起部分と受け皿部分が必ずあるのです。
- 主に出力側になるのが
- シナプス前要素(Presynaptic Elements)=Pre側シナプス=プレ側(神経終末)
- 主に入力側になるのが
- シナプス後要素(Postsynaptic Element)=Post側シナプス=ポスト側(シナプス後肥厚部)
ただし、シナプスは次の神経細胞と密着しているのではなく、数万分の1mmほどのすき間があります。
シナプス同士の間の、わずかな隙間のことを、【シナプス間隙】と、呼んでいます。
しかも、電気信号(情報)は、シナプス間隙を飛び越えることができません。
シナプス間隙と神経伝達物質
神経から神経に情報を伝達する為には、シナプス同士が繋がらなければなりません。
コチラのシナプスからアチラのシナプスへの橋渡し役が必要なのです。
そこで、「神経伝達物質」という情報伝達用の化学物質が、媒体になります。
神経伝達物質は、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、現在までに数十種類が発見されています。
情報伝達の仕組み
- 電気信号が伝わってくると、情報出力側(送り手側)のシナプス小胞から「神経伝達物質」という化学物質が、シナプス間隙に分泌される
- 神経伝達物質は、入力側(受け手側)の神経細胞の細胞膜にあるシナプスに結合する
- 電気信号が生じて情報が伝達される
こうして、
シナプスは、次の神経細胞に情報を伝達しているということです。
ちなみに、シナプス間隙の伝達にかかる時間は、0.1~0.2ミリ秒ほどです。
高齢になると、シナプスの突起自体も死滅してしまい、更には情報伝達に大切な「情報伝達物質」も少なくなってしまいます。
すると、シナプスの接続が出来なくなり、思考力や記憶力の衰え等、脳の老化が始まります。
脳梗塞やアルツハイマー病、統合失調症、うつ病などの脳神経精神疾患では、神経伝達物質の異常が起こっていることが推測されています。