薬価とは

薬価と薬価基準

「薬価」とは、その文字の通り、「薬の価格」のことなのですが、この場合の『くすり』とは、街の薬屋さんや、ドラッグストアやインターネットショップで買える薬ではなく、病院、医院、クリニック等で処方される薬の公定価格のことです。

「薬価」は、国(厚生労働省)が価格を決め、「薬価基準」と呼ばれる価格表に載せます。

診療報酬にもとづく保険医療においては、お医者さんは、「薬価基準」の中から薬を選んで処方しなければなりません。

現在、薬価基準に載っている薬は、内用薬と外用薬、それと注射薬を合わせて約1万7千品目以上になります。

薬価基準への新規掲載は、

新薬については年4~5回、後発品(ジェネリック)は6月と12月の年2回です。

逆に、処方頻度が少ない古い薬は、製造販売が中止されると、薬価基準から削除されることになります。

新薬においては、研究開発費などのコストが考慮されますし、今までにない画期的なものであれば、そのぶん薬価は高くなります。

このようなオリジナルの新しい薬を、薬価を語るうえで「先発医薬品・先発品・先発薬」と呼ぶことがあります。

先発薬品は、一連の臨床試験を通じ、作用や効果が実証されていますので、その信頼性は高いといえるでしょう。

薬価の変更

国の医療費抑制策の一環として、薬価は2年ごとに見直され、新年度の4月に全面改訂されます。

新しい薬価は、事前に、病院など医療機関での薬の仕入値を調査し、それを参考に設定されます。

病院では、薬価より安く仕入れていますので、ほとんどの薬の値段は引き下げられることになります。

競合品が多く、安値で販売されている薬は、そのぶん引き下げ幅が大きくなるものです。

結果的に、同じ成分の薬でも製品により、薬価に差がつくことになります。

病院や薬局では、処方・販売した薬の内、患者負担分以外の未収入の金額は、薬価をもとに計算し、毎月まとめて保険の支払機関に請求します。

おおまかにいえば、1錠10円の薬を、1回1錠、1日3回、7日分の処方で合計210円になりますが、患者の負担が3割負担ならば、約70円は、窓口でお金が入ってきますので、残りの約140円を請求することになるわけです。

処方箋と薬の点数と薬の値段

例えば、1錠9.5円の薬を1日3錠14日分、処方されたら、一日28.5円になります。

1点=10円なのですが、【五捨五超入】で計算しますので、

28.5円⇒30円⇒3点となります。

そして、

3点 x 14日=42点が薬剤料になります。

薬剤料は、勝手に値段を高くしたり安くしたりすると違法になります。(ドッラグストアと違う点です)

なので、どの薬局に行っても、同じ金額になります。

あなたが払う『薬代』は、3割負担の健康保険なら、処方箋に書かれた薬の点数の約3倍になります。

ただし、薬局の窓口で払った金額は、薬そのものの値段だけではありません。

患者さんはその他に「調剤技術料」「薬学管理料」を払います。

ですので、薬価100円の薬を1日4錠×25日=100錠もらうと、あなたの自己負担は、薬代3000円に各種手間賃を加えたものになります。

病院から直接、薬をもらう場合と、病院でもらった処方せんで、薬局から薬をもらう場合とで、会計金額が一致しないのは、そのためです。

ところで、前にも述べたように病院では薬を薬価よりも安い値段で買っています。

したがって儲けがでます。

いわゆる「薬価差益」です。

薬の仕入値は、病院の規模によって、メーカーや卸売り業者との力関係が影響します。

以前は、強い医療機関だと、薬価差益率30%とか40%というのは珍しくなく、病院の大きな収入源となっていました。

つまり、薬を処方すればするほど儲かるわけで、結果、患者が薬漬けにつながるという指摘があったわけです。

さすがに最近は、たびかさなる薬価の引き下げで、先発品など薬価差10%そこそこという感じです。

薬価差の縮小は、街の薬局に処方せんを出す一つの要因にもなっています。

後発医薬品(ジェネリック薬)の薬価の決め方

新薬(先発品)は、開発から20年くらい経過すると、その特許が切れます。

その後に発売される、同一成分の同効薬を「後発医薬品・後発品・後発薬」または「ジェネリック医薬品」と呼びます。

「ジェネリック医薬品」は、中小の製薬会社からゾロゾロと発売されてくるので、裏言葉で「ゾロ品」と呼ぶこともあります。

主成分が同じですから、たいていの場合、色や形もそっくりです。

後発品は、開発経費がかかりませんので、先発品に比べ薬価がたいへん安く経済的です。

先発品が1錠100円とすれば、後発品は70円から30円位になります。

個人負担も減るし、国全体としても医療費節約につながります。

後発医薬品の薬価の決め方は、初めて薬価収載されるときに、以下の基準で一律に決められます。

  1. 新薬の薬価の0.7倍
  2. 既収載医薬品に後発医薬品がある場合は、原則一番安い後発医薬品と同一価格
  3. 組成・剤型区分および規格が同一の銘柄の合計数が20個を超える場合、「後発医薬品の最低価格」×0.9

先発医薬品薬価が100円だった場合、それぞれのケースでは後発医薬品の薬価は表のように算定されます。