抗不安薬・系統別比較
抗不安薬の分類
不安の原因が取り除けない状態が長く続くと、自律神経の不調や、不眠、食欲不振等の身体の変調が起こります。
それを、心身症とか神経症と呼びます。
不安を取り除く薬を、抗不安薬と呼びます。
2014年10月現在、日本で使用されている抗不安薬は
- ベンゾジアゼピン(BZ)系抗不安薬
- 5-HT1A受容体(セロトニン)部分作動薬
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
の3種類です。
実際には、ほとんどの『抗不安薬・向精神薬』が、【ベンゾジアゼピン系抗不安薬】です。
デパスもソラナックス(コンスタン)もセルシン(ホリゾン)もレキソタン(セニラン)もワイパックスも、全~部、【ベンゾジアゼピン系抗不安薬】です。
現在の抗不安薬の主流は、ベンゾジアゼピン系とチエノジアゼピン系に分類される薬物です。
この2つは、構造が少し異なるだけで、作用はほぼ同様なので、同じ種類のものと考えて良いでしょう。
扁桃体への情報入力
不安や恐怖には扁桃体(へんとうたい)が関与しており、その発信源であると考えられています。
扁桃体への情報入力には
- 扁桃体への直接的な情報(不安・恐怖)
- 前頭前野、海馬を経由してきた間接的な情報(不安・恐怖)
があります。
扁桃体に届いた情報は、不安・恐怖と判断されると、各部位に伝達され、不安症状が発現すると考えられています。
逆に言えば、扁桃体に不安や恐怖に関する情報が入力されなければ、不安症状も発生しないことになります。
扁桃体への情報人力を阻害する物質
GABA(γ一アミノ酪酸)やセロトニンは、扁桃体への情報人力を阻害することによって、不安・恐怖を抑制する物質です。
- BZD系抗不安薬はGABA神経系に作用し不安・恐怖を抑制します
- 5-HT1A受容体部分作動薬はセロトニン神経系に作用し不安・恐怖を抑制します
- SSRIはセロトニン神経系に作用し不安・恐怖を抑制します
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の服薬の減量または中止方法
投与開始から約1~2ヵ月後に最も効果が高く、同処方を継続してもそれ以上の効果発現は期待できない。
依存形成を回避するためにも、臨床症状が十分に安定し、不安障害の要因が改善されていれば、薬剤の漸減または中止を考慮する。
急激な中断は避け、長期間かけて少量ずつ減量する。
目安としては、1~2週毎に1日量の1/4~1/2ずつ減量していくのが適当と考えられる。
通常、投与後数日程度で臨床効果が現われるため、投与1~2週間で初期効果を判定する。
- 【十分な改善が認められる】
- 同処方を継続する。
- 【改善は認められるが、効果が不十分】
- 十分な効果が得られるよう同薬剤を漸増する。
- 【無効、有害事象の発現、増悪を認める】
- 中止、変更、または治療方針の再考を検討する。