ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性についての注意喚起
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性についての注意喚起
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、医療従事者に向けて、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について注意喚起をおこなっています。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について(医薬品医療機器総合機構PMDAからの医薬品適正使用のお願い)
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について:2017年3月
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について:2017年3月
ベンゾジアゼピン受容体作動薬には、承認用量の範囲内でも長期間服用するうちに身体依存が形成されることで、減量や中止時に様々な離脱症状があらわれる特徴があります。
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主な離脱症状
不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作等
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用上の注意点
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用上の注意点
ベンゾジアゼピン受容体作動薬を催眠鎮静薬及び抗不安薬として使用する場合は、以下の点にご注意ください。
長期使用と依存形成
漫然とした継続投与による、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の長期使用を避けてください。
- 承認用量の範囲内でも長期間服用するうちに依存が形成されることがあります。
- 投与を継続する場合には、治療上の必要性を検討してください。
類似薬の重複服用と依存形成
ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、用量を遵守し、類似薬の重複処方がないことを確認してください。
- 長期投与、高用量投与、多剤併用により依存形成のリスクが高まります。
- 他の医療機関から類似薬が処方されていないか確認してください。
減薬・断薬と離脱症状
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の投与中止時は、漸減、隔日投与等にて慎重に減薬・中止を行ってください。
- 急に中止すると原疾患の悪化に加え、重篤な離脱症状があらわれます。
- 患者さんに、自己判断で中止しないよう指導してください。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬による依存形成の症例
ベンゾジアゼピン受容体作動薬による依存形成の症例
症例1~30歳代 男性 原疾患:社会不安障害
- 社会不安障害に対し、エチゾラム1mg/日、スルピリド50mg/日投与開始し、約1年8ヵ月後に症状悪化のためエチゾラム2mg/日へ増量。
- その後、患者より「大分楽です」と言われたためさらに約1年6ヵ月間継続処方。
- エチゾラムを2~3日間中止したところ、強直間代発作(意識消失、痙攣、朦朧状態)、嘔気・嘔吐あり。
- てんかん発作の既往歴はない。
症例2~40歳代 女性 原疾患:不眠症、潰瘍性大腸炎 合併症:不安、しびれ
- 不眠に対し、ゾピクロン7.5mg/日を約4ヵ月間服用後、ゾルピデム酒石酸塩5mg/日投与開始、その後ゾルピデム酒石酸塩5mg/日頓用、ロルメタゼパム1mg/日、ジアゼパム2mg/日を追加し、3剤で約2週間服用。
- 睡眠薬内服により不眠は改善したものの「睡眠薬に頼りたくない、やめたい」との思いから、3剤を自己中断。
- 1週間後、不眠悪化、頭痛、羞明、気分不快症状が出現し、中止前の薬剤(ロルメタゼパム1~2mg/日、ジアゼパム2mg/日)を再開。
- 効果不十分のためゾルピデム酒石酸塩10mg/日再開。
- エチゾラム0.5mg頓用、ジアゼパム2mg頓用、トリアゾラム0.25mg頓用で追加。
- 医師の指示量よりも多い量で自己調整していた。
- 耐性、離脱症状、睡眠薬の中止や制限の不成功より、睡眠薬依存症と診断。
- クロルプロマジン塩酸塩12.5mg/日を併用しながら睡眠薬を漸減。
- 約3ヵ月後、睡眠薬依存症は軽快。