睡眠改善薬とは?~睡眠薬との違い
睡眠薬と睡眠改善薬は全く違う薬です
- 睡眠薬と睡眠改善薬は違う
- 睡眠薬と睡眠導入剤は同じ
- 睡眠薬と抗不安薬も元は同じ
医薬品には、医師の処方が必要な医療用医薬品と、街にある薬屋さん・薬局・ドラッグストア・インターネット通販などで購入できるOTC医薬品(一般用医薬品)の2種類があります。
睡眠薬・睡眠導入剤は医療用医薬品なので、お医者さんの処方箋が無いと買えません。
睡眠改善薬はOTC医薬品に分類されるので、アマゾンや楽天市場でも売っています。
言い換えれば、本当の睡眠薬は市販では買うことが出来ないのです。
- 睡眠薬⇒医師の処方が必要な睡眠薬⇒医療用医薬品(処方薬)
- 睡眠改善薬⇒市販で買える睡眠薬⇒OTC医薬品(一般用医薬品)
睡眠改善薬とは
睡眠改善薬は、普段は眠れている人が一時的に眠りづらくなったときに対処する薬、つまり、「一時的な不眠症状」を解決するための薬で、常用する薬ではありません。
一般的には睡眠改善薬と呼ばれていますが、その他、”催眠鎮静剤”とか、”睡眠補助薬”とか、呼ばれることもあります。
医療用の睡眠薬・睡眠導入剤との違い
医師から処方される睡眠薬・睡眠導入剤は慢性的な不眠症状を対象としますが、睡眠改善薬は、寝つきが悪い、眠りが浅いといった一時的な不眠症状を対象にしています。
睡眠誘発作用は、医師から処方される睡眠薬・睡眠導入剤に比べて緩和で、いわば自然に近い睡眠を後押ししてくれるような効き方が期待できます。
一時的な不眠
一時的な不眠とは、「寝つきが悪い」、「寝つきが悪い」、「眠りが浅くて夜中に目が覚めてしまう」等、「精神疾患等病的な原因のない人が経験する一過性の不眠」のことを言います。
一時的な不眠の場合、持続期間は数日間~一週間を超えない範囲になります。
睡眠改善薬や睡眠補助薬は、眠りやすくなる状態を作り出すためのもので、本当の睡眠薬のように不眠症を治療する薬ではありません。
寝つきがよくなるというだけで、良質な睡眠をもたらす保証もありません。
不眠を根本的に改善する訳ではないので、慢性的な不眠症や睡眠障害の方は、やはり、本物の睡眠薬を使うべきです。
- 慢性的な「不眠症状」に使用する睡眠薬・睡眠導入剤とは成分や仕組みが全く異なります。
- 一時的な時差ぼけや生活リズムの乱れによる不眠の場合に、短期間に使う薬で、長期的な連続使用は推奨されません。
- 睡眠誘発作用は比較的緩和で、自然に近い眠りに導く効果が期待できます。
- 不眠が慢性化していた場合は、それを改善するほどの効果は期待できません。
睡眠薬と睡眠改善薬の違い一覧
市販薬である睡眠改善薬の使用目的は、「一時的な、寝つきの悪さ・眠りの浅さ等の不眠の症状の緩和」です。
不眠の症状が長く続いたり、数日毎に症状が繰り返し現れる場合は、一時的な不眠とは言えず、『日常的な不眠症状』になります。
医者が処方する睡眠薬は、向精神薬に分類されています。
睡眠導入剤と睡眠薬の間に本質的な違いはありません。
睡眠改善薬の効果発現時間と持続時間
個人差はありますが、目安として、服用後30分から1時間で効果があらわれます。
持続時間についても個人差がありますが、7時間前後と考えられます。
睡眠薬比較一覧
睡眠薬は、睡眠改善薬のように一過性の不眠症状の解消ではなく、長く不眠症状に悩まされている患者に対して使われます。
種類が多く、効き目があらわれるまでの時間の長さや、作用の持続時間も、薬の種類によって違ってきます。
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睡眠改善薬の成分~ジフェンヒドラミン
市販されているほとんどの睡眠改善薬の成分は、市販のかぜ薬や鼻炎薬などに含まれる抗ヒスタミン剤の一種、ジフェンヒドラミン塩酸塩です。
ジフェンヒドラミン塩酸塩は、花粉症等のアレルギー疾患に有効な治療薬として使われています。
同時に、ジフェンヒドラミンには、脳を覚醒させる働きのヒスタミンという物質をブロックする作用があり、中枢神経の動きを抑えて神経を鈍化させることで、眠気を誘います。
- ヒスタミンと呼ばれる脳内にある物質は、ヒスタミン受容体と結合することで脳を覚醒させる
- ジフェンヒドラミンが先回りしてヒスタミン受容体と結合すると
- ヒスタミンがヒスタミン受容体と結合出来なくなる
- 眠気が出る
風邪薬やアレルギーの治療薬を飲むと眠くなるのは、ジフェンヒドラミンの作用を利用しているのです。
ただし、ジフェンヒドラミン塩酸塩は中枢神経を抑えて眠気を誘うもので、睡眠導入剤のように深い眠りを得られるものではなく、単に眠りにつくきっかけを作り出すだけなので、本来の質の良い睡眠は得られません。
ジフェンヒドラミンで眠くなるしくみ~ヒスタミンとの関係
脳の睡眠・覚醒に関係が深い視床下部の後部には、興奮性ニューロンといわれるヒスタミンニューロンが多く存在しています。
その末端から放出されるヒスタミンは、大脳皮質をはじめ、脳の様々な部位の神経細胞を興奮させることによって覚醒の維持・調節をしています。
ジフェンヒドラミンは、脳におけヒスタミンの働きを抑え、眠くなる作用をあらわします。
睡眠改善薬が長期使用に向かない理由
ジフェンヒドラミンを成分とした睡眠改善薬の多くは、1箱の内容量が3日分程度になっています。
ジフェンヒドラミンは、耐性ができるのが早く、一回の使用でも体に抵抗力が付き、二回目からは中枢神経を抑えにくくなり、3日間連続で服用すると効果はなくなるのです。
仮に、違うメーカーの睡眠改善薬に替えたとしても、成分が同じジフェンヒドラミンなら、耐性が出来てしまっているので、結果は同じになります。
しかも、中枢神経を麻痺させ続けることで、慢性的な倦怠感や集中力の低下や判断能力の低下などの副作用が起こることもあり得ます。
睡眠改善薬は、あくまで応急処置的に使うものです。
一時的な不眠ではなく、一週間以上も続くような不眠症・睡眠障害と診断された方は、睡眠改善薬利用せず、病院で診察を受けて処方される本物の睡眠薬を使うようにしてください。
4回目の使用になると、ほとんど睡眠効果が見られなくなったという報告もあるくらいで、眠るために薬の量を増やし、重篤な副作用を招いてしまう危険性もあります。
ジフェンヒドラミンが成分の睡眠改善薬
- ドリエル(エスエス製薬)
- マイレストS 6カプセル(佐藤製薬)
- グ・スリーP(第一三共ヘルスケア )
- ネオデイ(大正製薬)
- アンミナイト(ゼリア新薬工業 )
- リポスミン(皇漢堂製薬)
- スリーピン(薬王製薬)
- レスタミンコーワ糖衣錠(興和新薬)
- ハイヤスミンA(福地製薬)
- ドリーミオ(資生堂薬品)
ジフェンヒドラミンの副作用
ジフェンヒドラミンにも副作用はあります。
そもそも、ジフェンヒドラミン配合の睡眠補助薬そのものが、薬剤の副作用を利用している薬です。
一般的な副作用としては
- 口の渇き
- 心拍数の増加
- 尿量の減少
- 便秘
- 発疹・発赤、かゆみ
- 胃痛、吐き気・嘔吐、食欲不振
- めまいや頭痛
- 起床時の頭重感
- 昼間の眠気
等です。
睡眠改善薬を使う理由
- しっかり睡眠が取れていないせいで、体に疲れがたまっていると感じる
- 何日かうまく寝つけない日が続き、今日こそはちゃんと眠りたい
- ストレスが多く、眠れない
- 心配ごとがあって、夜中に目が覚める
- 疲れているのに、神経が高ぶって寝つけない
- 時差ボケや不規則な生活で、睡眠リズムが狂い、寝つけない
- ぐっすり寝た感じがしない日が続いている
- 次の日大切な仕事の予定があるのに寝つきが悪い
- しっかり睡眠が取れていないせいで昼間眠くなったり、集中力が続かず仕事に支障を感じる
睡眠改善薬と一緒に服薬できない薬~併用禁止
睡眠改善薬、かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬)とは一部成分が重なることにより、作用が強く現れたり、口の渇き等の副作用が増加する可能性がありますので、併用はしないでください。
アルコールの悪影響
ジフェンヒドラミンはアルコールと一緒に服用すると効果が強くなりすぎてしまい、危険だとされています。
市販の睡眠薬、つまり、睡眠改善薬は、お酒を飲んだ時には服用しないようにして下さい。
漢方成分の睡眠改善薬
ジフェンヒドラミンのような抗ヒスタミン薬が成分の市販の睡眠薬以外では、漢方薬を利用しているものもあります。
漢方薬を使った睡眠改善薬は、気持ちが落ち着く生薬を配合しています。
- レスフィーナ
- イララック
- パンセダン(佐藤製薬)
- ウット(伊丹製薬)
- ホスロールS(救心製薬)
- クラシエ漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(クラシエ漢方)
- アロパノ-ル(全薬工業)
- 漢方ナイトミン(小林製薬)