うつ病の判断基準
毎年4月7日は、WHOが設立された1948年4月7日を記念して、「世界保健デー:World Health Day(WHD)として定め、WHOが「その年の国際保健のテーマ」を定めて世界に向けて発信します。
2017年のテーマは、「Depression : Let’s Talk」で、歴史上初めて「うつ病」が取り上げられました。
日本精神神経学会や日本うつ病学会など、うつ病の治療・研究にかかわる4学会は「うつ病」を「がんに次ぐ重大な社会的損失をもたらす疾病」として位置づけ、その対策などに緊急に取り組むように求める共同宣言を採択しました。(2010年5月)
先進諸国ではすでに「うつ病」をはじめとする精神疾患を「がん」や「心臓疾患」とならぶ三大疾患として位置づけ、国家政策の最優先課題の一つとしています。
うつ病(鬱病)とは?
どんな人でも経験したことがある「ゆううつ感」という心理がありますが、それが非常に強くなり、しかも何週間にもわたって長引くような場合、「うつ病」の可能性を考えます。
症状の多くは、「ゆううつ」「無気力」「いらつき」「食欲低下」「不眠」「体の不調」など、誰でも理解できるようなものですが、つらさの程度が半端ではなく、仕事や家事などの社会生活を営みにくくなったり、時にはもう生きていたくないなどと、極端に悲観的な考えに陥ったりします。
うつ病という病気になると、悲しい気持ちがずっと続いたり、普段は楽しめることへの興味がなくなったりして、普段どおりの生活が送れない状態が、2週間以上続きます。
うつ病はいつ誰がかかってもおかしくない、一般的かつ人間的な病気です。
うつ病には、一般的に次のような症状が見られます
うつ病は抑うつ気分などの精神症状だけでなく、睡眠障害、疲労倦怠感、食欲低下、頭痛・頭重感、体の痛みなどの身体症状が比較的高頻度で出現します。
そのため、うつ病患者のおよそ2/3は、主に「身体症状」を訴えて、まず内科を受診します。
精神科もしくは心療内科を初診するケースは、併せても10%程度です。
自分で感じる症状
- 憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である
- イライラする
- 元気がない、好きなこともやりたくない
- 細かいことが気になる
- 物事を悪い方へ考える
- 食欲不振あるいは過食
- 不眠あるいは過眠
- 漠然とした不安
- 集中力と注意力の低下
- 決断ができなくなる
- 落ち着きがなくなる
- 自己評価が低くなり自信がなくなる
- 悪いことをしたように感じて自分を責める、罪の意識を感じる
- 将来に対して希望がもてなくなる
- 自傷や自殺について考えてしまう
周囲から見てわかる症状
- 表情が暗い
- 涙もろい
- 反応が遅い
- 落ち着かない
- 飲酒量が増える
体に出る症状
- 食欲がない
- 体がだるい
- 疲れやすい
- 性欲がない
- 頭痛
- 肩こり
- 動悸
- 胃の不快感
- 便秘がち
- めまい
- 口が渇く
こんな風に考えたり、感じたりしたらうつ病の可能性があります。
- 苦しくて押しつぶされそうに感じる。もう耐えられない
- 「生きていても意味がない」などと思い、将来への希望がもてない
- 頭の中がネガティブで不安な考えでいっぱいになる
- 「自殺」以外の解決策が思い浮かばない
- 死ぬことで救われる、と考えてしまう
- 「自分なんていない方が皆のためになる」と思う
- 自分に価値はないと感じる
- 家族や友達と一緒にいる時でさえ、強い孤独を感じる
- どうしてこのように感じたり、考えたりしてしまうのかわからない
うつ病の方に伝えたいこと・覚えておいてほしいこと
- あなたはひとりではありません
- あなたと同じような経験や体験を乗り越えて、今日生きている人たちが、他にもたくさんいます
- 自殺について話すことはいけないことではありません
- 話すことで心が軽くなることもあります
- うつ病は弱さではありません
- うつ病は心理療法や抗うつ剤を使ったりすることで治療できます