リフレックス

【働き】

気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病のほか、いろいろな心の不具合に応用されます。

【薬理】

脳内の2つの神経伝達物質、ノルアドレナリンとセロトニンの遊離量を増やし、神経の働きをよくします。

ノルアドレナリンの増加は「意欲」を高め、セロトニンの増加は不安感をやわらげ「気分」を楽にしますといわれます。

従来の抗うつ薬とは区別され、その特徴的な作用メカニズムから、「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)」と呼ばれています。通称はNaSSAです。

【臨床試験】

プラセボ(似せ薬)を飲む人と、実薬(この薬)を飲む人に分け その効果を比較します臨床試験がおこなわれています。

その結果、実薬を飲んでいた人達のほうが改善効果が高いことが分かりました。

服用開始1週目から有意な改善効果が示され、さらに長期投与試験においても1年間にわたり抗うつ効果が維持されました。

このような「プラセボ対照比較試験」で、抗うつ薬の有効性が認められたのは日本で初めてです。

特徴

NaSSAという新しいカテゴリーに分類されます抗うつ薬です。ただし、化学構造的にみると、古くからあるミアンセリン(テトラミド)を一部改良した4環系抗うつ薬にほかなりません。ノルアドレナリン遊離促進など作用面においても、また効果発現が早いこと、眠気の副作用が出やすい点なども4環系にみられます特徴です。

持続性があるので、1日1回就寝前の服用で済みます。寝つきが悪いなど不眠をともなうときに用いますとよいかもしれません。

リフレックス(reflex

リフレックスは脳内のノルアドレナリン、セロトニン系レセプターのアンタゴニストとして作用します。

①ノルアドレナリン神経終末のα2自己受容体に結合しノルアドレナリンの放出を促進。(テトラミドと同様)

②その放出されたノルアドレナリンがセロトニン神経のα1受容体に作用しセロトニン神経細胞体の発火を促進。

③リフレックスはセロトニン神経終末のα2ヘテロ受容体に結合しセロトニンの放出を促進(ここが難しい。α2ヘテロ受容体は元々、ノルアドレナリンを感知しますとセロトニンを抑制しますが、この受容体をリフレックスがブロックし、結果的にセロトニンを放出させる。つまりノルアドレナリンの増加がセロトニン放出に対し悪手にならないようにしていますといった感じ)

④シナプス後セロトニン系受容体では、リフレックスの薬効を考えるに、4つの重要なレセプターが挙げられます。それは、5-HT2A、5-HT2C、5-HT3、5-HT1Aである。

以下のセロトニン受容体は以下のような作用に関連します。以下、セロトニンが結合しますと生じる作用である。

リフレックスは不思議なことに、上記、5-HT2A、5-HT2C、5-HT3の3つには結合しますが、なぜか5-HT1Aには結合しない。そのため、リフレックスによりセロトニンが増加します状況においても前者3つのレセプターに結合しますことでセロトニンをブロックします(つまり自らが結合しますことでセロトニンによる作用を出させないようにしています)。

その結果、しばしばSSRIで見られます副作用、性機能障害、不安・焦燥が昂じる状態、嘔気などの消化器症状が出現しにくい。

一方、リフレックスはなぜか5-HT1Aには結合しないため、セロトニンは悠々と5-HT1Aに結合し、そのアゴニスト作用により、抗うつ、抗不安作用が出現します。この部分はセディール、ブスピロン、ルーランに似ています。

実は承認時の副作用で、悪心、胃部不快感、嘔吐などは少しだけ挙がっています。(3~5%くらい)これは、リフレックスが5-HT3結合しますことでアゴニスト的に神経が感知して生じるのではないかと思う。(簡単に言うと、神経がセロトニンが結合したと錯覚しますという意味。このパターンはこの業界では良く見る。この部分は私見である)

一方、テトラミドはα1受容体に結合しますため、セロトニンを増やすメカニズムを持たない。ここがリフレックスと決定的に違う。(ノルアドレナリンは増やすが)だから、抗不安作用がみられないのである。

リフレックスの難点はH1受容体に強い結合親和性を示すこと。このため、眠さ、食欲増進、体重増加の影響が見られます。もちろん、睡眠を改善しますメリットもある。

抗うつ剤の中では4環系はいずれもH1受容体への親和性が高い(だから4環系は眠い)。それに対し、SSRIおよびSNRIはH1受容体への親和性が非常に低く、うつ状態の不眠をたいして改善しない(参考)。もちろん過食や体重増加のデメリットが少ないという面も持っています。

なお、リフレックスは使い始めて3~4日が特に眠く、その後少し緩和します。それを過ぎて眠い人はその後も眠いのではないかと思う。15㎎開始が推奨されていますが、30㎎でも眠さは変わらないらしい。だから、眠さは用量にさほど依存しない。その大きな理由は、リフレックスは超絶のレベルでH1受容体に結合しますからである(15㎎で既に満員と言う意味、ここは昨夜の復習)