不安と恐怖の違い

恐怖~原因・対象がはっきりしています

恐怖と言うのは、実際に身の危険を回避しようとして生じるための反応です。

そのため、『特定の状況や対象に対して生じる』 のが原則の感情です。

恐怖は、実際に身の危険が起こり得る時に生じる反応なので、原因が特定されています。

たとえば、『車にひかれそうになった』時には、『死ぬかもしれない』という恐怖に襲われます。

でも、無事に車が通り過ぎれば、その、”恐怖”は、消失します。

つまり、目の前の危険が消滅すれば、恐怖という感情はなくなります。

”恐怖”には、【特定の時間・瞬間】が存在するわけです。

不安~原因・対象が特定できません

不安は、目の前にある現実の出来事に対して起こる感情ではなく、

未来や将来に起こるかも知れない悪い事を想像し、恐れることで沸き起こる感情です。

不安にも、正常な不安と、病的な不安があります。

正常な”不安”は、結果が確認できれば、消滅します。

たとえば、

『明日の試験大丈夫かな?』

『明日の面接に遅刻したらどうしよう』

これらは、特定の時間が来て、具体的な結果が確認できれば、”不安”は消えます。

ところが、病的な不安は、不必要なときに現れ、程度も強く、消えることがありません。

たとえば、

『胃が痛くてしょうがない』⇒『胃癌かもしれない』⇒『死んでしまうかもしれない』

胃カメラで検査をして、異常が無いことを確認できても、その瞬間が過ぎれば、

『今は大丈夫だったけど、明日は胃がんになって、死んでしまうかもしれない』という、恐怖が発生します。

つまり、ひとつの問題が解決した次の瞬間には、新しい問題・悩み・恐れを、自ら作り出してしまうわけです。

病的な不安の場合、どんな些細なことからでも、最悪の状況を想像してしまいます。

心は、モヤモヤ、ざわざわとして、不快感に包まれ、居ても立ってもいれらなくなります。

寝たくても、眠れなくなります。

全身から汗がでて、動悸もして、息も荒くなります。

食欲はなくなり、吐き気がします。

こうした身体的な不調が現れると、ますます不安は強くなり、それがまた、身体のあちこちに痛みや不調を招きます。

不安は不安を呼び、冷静な判断がどんどんできなくなります。

一度でも、この悪循環・負のスパイラルに入ってしまうと、アナタから笑顔が無くなり、苦しみに包まれるのです。

そして、【病的な不安】から、アナタを救い、治してくれるのが、『抗不安薬』です。