大うつ病エピソードの診断基準(DSM-IV)~DMSとは?

精神障害の統計・診断マニュアル(DSM=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)

アメリカ精神医学会(APA)がに作成しているDSMは、1952年にDSM-Ⅰ(第1版)が作成され、1968年にDSM-Ⅱ(第2版)が開発されました。

当初、統計調査のために作成されたDSMは、第3版のDSM-Ⅲから、明確な診断基準を設けることで、精神科医間で精神障害の診断が異なるという診断の信頼性の問題に対応しました。

世界共通の精神障害(精神疾患)の診断基準として広まり始めたのは、『カテゴリー診断学』を導入したDSM-Ⅲ(1980年)とDSM-Ⅲ-R(1987年)からです。

カテゴリー診断学というのは、簡単にいえば『各精神障害の症状や特徴を列挙した一覧表』を作成して、その症状や特徴のうち○個以上が当てはまっていればその精神障害だと診断することができるという誰もが使えるように工夫された『マニュアル診断』のことでです。

DSM-Ⅳ(1994年)やDSM-Ⅳ-TR(2000年)の時代になると、APAの開発したDSMは精神医学の統計学的根拠のある網羅的かつ実用的な診断基準となり、“グローバル・スタンダード(病名診断する精神科医の共通言語)”として機能するようになっていきました。

2013年5月には、DSM-Ⅳから約20年ぶりに最新版の“DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 5th edition)”が出版されました。

分かりやすいうつ病チェック表

うつかどうかのチェック表は、厚労省のホームページにありますが、かなり分かりにくいです。

大うつ病エピソードの診断基準(DSM-IV):厚労省

大うつ病エピソードの診断基準(DSM-IV)をわかりやすくしてみました

以下の9つの症状の内、5個以上が当てはまりますか?

ただし、以下の条件を満たしてください。

    • 「A1=抑うつ気分」または「A2=興味や喜びの喪失」の2つのいずれか一つが含まれること
    • 2週間の内、一日でも気分がすぐれたり、高揚したりした日はなかったこと(双極性障害=躁うつ病ではないこと)
    • 症状原因で、著しい苦痛を感じ、日常生活に支障があり、社会的・職業的またはその他の重要な領域で機能障害を起こしていること

また、選んだ症状は

    • 同じ2週間のうちに存在していること
    • ほとんど1日中、ほとんど毎日であったこと
    • 明らかに、一般身体疾患によるものではないこと
    • 気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まないこと
    • 物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではないこと
    • 死別反応ではうまく説明されないこと
    • (すなわち、愛する者を失った後、症状が2カ月を超えて続くか、または、著明な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動抑止があることで特徴づけられる。)

以下の9つの症状の内、5個以上が、同じ2週間の間にほぼ毎日、ほとんど一日中あれば、うつ症状ということです。