ベンゾジアゼピンとは
ベンゾジアゼピン: Benzodiazepine
ベンゾジアゼピン系薬剤とは、べンゾジアゼピン受容体作動薬のことです。
【ベンゾジアゼピン: Benzodiazepine】から、Bz系と呼ばれることも多いです。
稲葉浩志· 松本孝弘のユニットじゃないです。
あれは、” B'z =ビーズ”ですから。
不安発生の仕組み(メカニズム)とベンゾジアゼピン系薬物
脳内には、ベンゾジアゼピンという物質が結合する、特異的部位があることが判っています。
この部位をベンゾジアゼピン受容体と呼びます。
- ベンゾジアゼピン受容体は、大脳皮質や大脳辺縁系、視床、視床下部に多く分布しています。
- ベンゾジアゼピン受容体に、ベンゾジアゼピン系の薬剤が結合すると、GABA(ガンマアミノ酪酸)という、中枢神経系を抑制する、代表的な脳内神経伝達物質の作用が高まります。
- すると、GABAがGABA受容体へ結合しやすくなり、GABA神経を活性化します。
- GABA神経は、他の神経系の過剰な活動を抑える作用があります。
- そのため、大脳辺縁系の神経活動が抑制され、興奮が伝わりにくくなり、抗不安、抗痙攣(けいれん)、鎮静(ちんせい)などの作用や、心の不安・緊張を和らげ、催眠作用をもたらします。
日本で承認されているベンゾジアゼピン受容体作動薬一覧
ベンゾジアゼピン受容体作動薬には、
- ベンゾジアゼピン系
- 非ベンゾジアゼピン系
の2種類があります。
ベンゾジアゼピン受容体
脳内にある、ベンゾジアゼピン受容体は、さらにω1受容体(α1受容体)とω2受容体(α2、α3、α5受容体)の二つに分けられます。
- ω1受容体(オメガ1じゅようたい)は睡眠作用(すいみんさよう)・鎮静作用(ちんせいさよう)に関与
- ω2受容体(オメガ2じゅようたい)は抗不安作用(こうふあんさよう)・筋弛緩作用(きんしかんさよう)・抗痙攣作用(こうけいれんさよう)に関与
ベンゾジアゼピン系薬の使い方
ベンゾジアゼピン系薬は、比較的安全性が確保された薬物です。
薬物の半減期を考慮したうえで、症状に合わせて使用されます。
主な作用としては抗不安作用、筋弛緩作用、鎮静作用、催眠作用、抗痙攣作用です。
- 抗不安作用に優れるものは抗不安薬
- 催眠作用に優れるものは睡眠薬
- 筋弛緩作用に優れるものは筋弛緩薬
- 抗けいれん作用に優れるものは抗けいれん薬
と呼ばれています。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬~睡眠薬または抗不安薬として
ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、作用する受容体の場所によって、睡眠薬や抗不安薬に使用されます。
受容体は、ω1受容体(α1受容体)とω2受容体(α2、α3、α5受容体)の二つに分けられます。
- ω1受容体(オメガ1じゅようたい)は睡眠・鎮静に作用⇒ベンゾジアゼピン系睡眠薬
- ω2受容体(オメガ2じゅようたい)は抗不安・筋弛緩(きんしかん)・抗痙攣(こうけいれんさよう)に作用⇒ベンゾジアゼピン系抗不安薬
ベンゾジアゼピン系薬剤の名前の特徴
ベンゾジアゼピン系薬(BZ) には、
エチゾラム(商品名:デパス)、トリアゾラム(商品名:ハルシオン)、ブロチゾラム(商品名:レンドルミン)、ハロキサゾラム(商品名:ソメリン)、 ユーロジン(エスタゾラム(商品名:) とか、フルニトラゼパム(商品名:サイレー、ロヒプノール)、クアゼパム(商品名:ドラール)、フルラゼパム(商品名:ダルメート、ベノジール)、ニメタゼパム(商品名:エリミン)などがあります。
「~ゼパム」「~ゾラム」という名前がくればベンゾジアゼピン系の薬です。
デパス(エチゾラム)は、化学構造式上はBZ骨格ではなく、チエノジアゼピン系と呼ばれますが、化学構造式が異なっていても作用機序、効果、副作用は同様であり、これらをまとめてBZ系薬あるいはBZ受容体作動薬と呼びます。
BZ系薬とは、γアミノ酪酸(GABA)/BZ受容体/クロールイオンチャネル複合体に作用する薬剤であり、抗不安薬、睡眠薬、抗てんかん薬などに分類されています。
GABA神経系を直接変化させるものではなく、一定用量で作用は頭打ちとなります。
作用時間によって、3つのタイプに分かれます
- 長時間型(20時間以上)
- 中間型(6~12時間)
- 短時間型(6時間以内)
不安症状に対して
- 急に強まってきた不安症状に対しては、速やかに症状を改善させるべく、短時間型の抗不安薬が適していてます。
- 不安症状が持続するような場合には、血液中の薬物濃度を安定に保つべく、長時間型の抗不安薬が適しています。
不眠症状に対して
不眠を訴える人ではGABA受容体の機能が低下していると考えられています。
ベンゾジアゼピン系薬は脳内のGABA受容体に存在するベンゾジアゼピン結合部位に作用することで、Cl-の流入を促し、脳の働きを抑えます。
すなわち、眠くなるのです。
ベンゾジアゼピン系薬の副作用
ベンゾジアゼピン系薬の副作用として、最も頻度が多いのは、眠気とふらつきです。
国内で使われている睡眠薬のほとんどは、ベンゾジアゼピン系です。
絶対に使ってはいけない?~ベンゾジアゼピン系薬剤の副作用・依存性・耐性
絶対に使ってはいけない?~ベンゾジアゼピン系薬剤の欠点・デメリット・怖さ
ふらつきに関しては、筋弛緩作用から起こります。
高齢者の場合は、転倒して骨折するケースもあるので、注意が必要です。
その他にも脱力感、疲労感などがみられることもあります。
副作用のほとんどは、服用を続けるうちに、自然と体が慣れてきます。
- 持ち越し効果
- 薬物の効果が次の日の朝まで続いてしまい、眠気やふらつきなどの症状が出てしまう
- 依存性(耐性)
- 薬の種類、用量、期間などによりますが、数週間以上、毎日常用していると、薬に対する身体依存が形成されてしまいます。
- 一旦、ベンゾジアゼピン系薬に対する依存性が出来てしまうと、急に服薬を中止することで退薬症状(離脱症状)、つまり、【禁断症状】が出現します。
- 物事を考えられなくなってしまうほどイライラが強まってしまったり、場合によっては、てんかん発作などの深刻な症状が出現することもあります。
- また、耐性ができると、最初は効き目のあった、使用量では効かなくなり、だんだんと、服薬量が増えていきます。
- こうした依存性や耐性の問題を防止するためには、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、なるべく短期間の服用が望ましいのです。
- 記憶障害(健忘)
- 薬物服用後、「眠るまでの出来事」や「朝起きた時の出来事」の記憶がない症状
- リバウンド(反跳性不眠)
- ベンゾジアゼピン系薬を長い間使用している段階で、急に服用を止めてしまうことで不眠・恐怖・ふるえなどの離脱症状が起こる