抗不安薬の処方数ランキング

最も処方頻度の高い抗不安薬

日本で一番使われている抗不安薬は、デパス(エチゾラム)です。

医師によるインターネットコミュニティのアンケートでも、厚生労働省の調査でも、デパスが首位でした。

インターネット通販で買えるデパス

第2位はアルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス他)、第3位はクロチアゼパム(リーゼ他)が、処方頻度の高い薬剤として選ばれています。

最もよく処方する抗不安薬~日経メディカル Onlineの医師会員によるネットアンケート

調査概要:日経メディカル Online の医師会員を対象にウェブアンケートを実施

期間:2017年8月17日~23日

有効回答数:2398人

内訳:

    • 病院勤務医=1675人
    • 診療所勤務医=307人
    • 開業医=362人
    • その他=54人

日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、抗不安薬のうち最も処方頻度の高いものを聞いたところ、第1位はエチゾラム(商品名デパス)でした。

医師の63.8%がエチゾラムを挙げ、最も人気のある抗不安薬であることが分かりました。

抗不安薬~デパスが不動の一番人気、第2位はアルプラゾラム、第3位はクロチアゼパム

第2位のアルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス他)は8.9%、第3位のクロチアゼパム(リーゼ他)は8.7%の医師が、最も処方頻度の高い薬剤として選んでいます。

4位以下は、ジアゼパム(セルシン、ホリゾン他、5.7%)、ロフラゼプ酸(メイラックス他、5.4%)、ロラゼパム(ワイパックス他、5.0%)、ブロマゼパム(セニラン、レキソタン他、0.6%)、オキサゾラム(セレナール他、0.6%)、クロキサゾラム(セパゾン、0.4%)、クロルジアゼポキシド(コントール、バランス他、0.4%)、フルジアゼパム(エリスパン、0.3%)、クロラゼプ酸(メンドン、0.2%)、メキサゾラム(メレックス、0.1%)

医師が選ぶ抗不安薬ベスト10

エチゾラム(デパス)を処方する理由

多くのドクターが、デパス(というかベンゾジアゼピン系の薬剤)の持つ依存性や耐性の問題を理解していながらも、その使い勝手の良さから、多用している現状が分かりますね。

患者からの強い希望があるために処方する

    • できるだけBZ系薬剤は処方しないようにしているが、デパスは有名でやはり効果も高いので、患者から希望をする場合が多いと思う。(50歳代病院勤務医、一般内科)
    • デパスは他院からの継続が多いです。なかなか中止できない。(40代診療所勤務医、一般内科)
    • 依然として知名度があり、患者からの要求が高い。最近は、新規での処方は少なくなっており、他剤を使用し始めている。(40歳代病院勤務医、一般内科)
    • ある程度の効果が確実に得られ、使用上の問題も特になく、患者からのリピート要請もあり、新薬がいろいろと出てきた今でも重宝している。(50代勤務医、一般内科)

睡眠薬として処方する

    • 短時間作用型で抗不安作用に加え催眠作用もあり、不眠時の頓服薬としても使用できるため。(50代診療所勤務医、一般内科)
    • 依存性もあるが、不安で血圧上昇や不眠などによるQOL低下を招くよりは、睡眠効果がある方がよい。ただし増量したがる患者では、ロラゼパムなど長時間型に変更する。(40歳代病院勤務医、一般内科)

筋弛緩作用を利用して処方する~肩こり・頭痛対策として

    • 筋弛緩作用が強く、筋筋膜性の痛みを持つ患者の痛みと不安に対して効果が高いと思う。ただし依存も多いので限定的に使うのが良いと思う。(40歳代開業医、麻酔科)
    • 筋弛緩作用が強いため、肩凝りや緊張型頭痛を伴う神経症気質の患者によく処方している。(30代勤務医、一般内科)
    • 即効性がありキレ味が良く、使いやすい。筋弛緩作用もあるので重度の肩凝りや筋緊張性頭痛にも使用できる。ただ、独特の切れ味のよさ(薬が切れたときにはっきりと体感できてしまう)や筋弛緩作用、多幸感から大抵の人間は容易に依存に陥りやすく、本来は処方に重々注意が必要な薬である。(30代診療所勤務医、一般内科)

効果の強さや即効性があるための処方

    • 耐性や依存性はあるが、使い慣れており、またセルシンと同様に長期投与が可能であるため、よく用いている。(40代勤務医、精神科)
    • 効果が強く即効性もあるので、頓服として使用しています。ただ、依存や耐性が出現するので、連用はさせないように注意しています。残念ながら連用されてしまい、処方を指定してくる患者も見受けられますが、そのような場合には心療内科や精神科への受診を強く勧めています。(30歳代病院勤務医、一般内科)

適応外の処方~万能薬として

    • 昔からある薬で、また整形外科的には、変形性脊椎症の適応もあるので使いやすい。(50代開業医、整形外科)
    • 夜間頻尿の患者に使用しています。過活動膀胱の薬剤よりも効く印象です。(50代勤務医、泌尿器科)
    • 神経調節性失神に有効例が多い。(50代勤務医、循環器内科)
    • 非専門医にとっては、デパスは1st choiceです。(30代診療所勤務医、代謝内分泌内科)
    • これぞ、万能薬! 救急の現場では外せません。(30代診療所勤務医、救急科)
    • 専門外の身にとって、うつによると思われる食欲不振の患者さん数例に、デパスを投与して効果があったことから、まずは試してみる抗うつ薬となっている。(50代勤務医、一般外科)

最も多く処方された精神神経用剤(抗うつ薬等)

厚生労働省はこのほど、2014年4月~15年3月に処方された薬剤のうち、薬効分類ごとに処方数量の多い上位30品目を公表した。

レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積された14年度のレセプトデータ(医科入院、医科入院外、DPC、歯科、調剤)約18億800万件を集計した結果。

成分別ではなく、規格や後発医薬品の銘柄までを含む商品名別に集計している。

厚生労働省 第1回NDBオープンデータ

内服 外来(院内) 性年齢別薬効分類別数量

内服 外来(院外) 性年齢別薬効分類別数量

精神神経用剤処方数ランキング・ベスト30(院外処方の内服薬として)

それにしても、デパスの処方数は群を抜いています。

ある意味、”異常”ですね。

デパスに代表される、”ベンゾジアゼピン系の薬剤”には、いろいろな問題があるのですよ。

絶対に使ってはいけない?~ベンゾジアゼピン系薬剤の欠点・デメリット・怖さ

絶対に使ってはいけない?~ベンゾジアゼピン系薬剤の副作用・依存性・耐性