司法の独立

大津事件では、ロシア皇太子ニコライを切りつけた巡査津田三蔵に旧刑法116条「天皇三后皇太子ニ對シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ處ス 」を類推適用して政府は極刑に処すべきと主張した。 しかし、これに対して大審院長の児島惟謙(いけん・これかた)が反対した。

結局、大審院は「普通人に対する罪」(謀殺未遂の犯罪)適用して無期徒刑とした。この判決は司法権の独立として知られている。 この事件に対しては争いがある。

ひとつは、児島が勅語「今般露国皇太子に関する事件は国家の大事なり。注意して速に処分せよ」をもとに裁判官に圧力をかけたという指摘であり、

もうひとつは、児島は勅語をもとに司法部を統一することによって法治主義を遵守して、国家の威信を回復しようとしたという考え方である。

(資料は関西大学博物館より)