アメリカ死刑制度

1960年代から死刑制度は連邦憲法第八修正、cruel and unusual punishmentであると議論されてきました。そこでは死刑という制裁を陪審が課すことができるのか、が問題になってきました。

Witherspoon v. Illinois, 391 U.S. 510 (1968)では、死刑を規定するイリノイ州法に対して連邦最高裁は違憲判断を下しました。本法は殺人罪について陪審が死刑を決める権限を与えていましたが、死刑について良心の咎める陪審を忌避できると規定していました。

連邦最高裁は、忌避された人を除いて陪審が構成されてしまうと死刑を課してしまうだろう、という意味で、「公正な裁判を受ける」という第六修正および第十四修正を害していると判断しました。死刑判決は違憲だというのです。

その後、Furman v. Georgia, 408 U.S. 238 (1972) ではジョージア州の死刑制度は第八修正Cruel and unusual punishmentに違反すると判断されました。ジョージア州法でも陪審が死刑判決を下す権限を有していました。本件ではFurman氏が住居侵入後の逃亡の際、銃を落とし、家人を射殺したものです。 Furman判決は死刑宣告の裁量権の限界を定めたものとして理解されています。

その後、各州では死刑制度の改正が図られました。Gregg v. Georgia,428 U.S.153 (1976).では、連邦最高裁は、死刑制度はcruel and unusual punishimentに該当しないと判断しました。

アメリカの死刑制度は、人種主義と結び付けられて議論されることがあります。映画「グリーンマイル」が人種差別と死刑制度を顕著に示しています。さらに最近ではDNAによる再鑑定の結果、死刑制度そのものが疑われています。