活元運動

活元運動

 

活元運動は、身体の自律的な調整作用を

活用して、身体の持つ能力を発揮する方法

です。

野口整体では、この調整能力の主要な系を

錐体外路系運動としています。

錐体外路系は、現代医療や運動理学的分野

においては、ごく 附随的な扱いです。

脳や意識の直接司令を必要としない反射運動

的な、力学構造としての神経系統としか捉え

ておらず、最近の傾向としては過剰反応的な

神経系の逸脱として問題行動を起こす主要

経路と考えられているようです。

これは、意識が無意識を主導すると捉える

西洋近代以来の世界観が、無意識と身体の

その存在意義を本質的に捉えていないから

です。

 

活元運動は、その現象自体は人がこの世界に

誕生した頃から感覚され、認識されていた

身体の自動的な揺れや自発的な動きでした。

椎体外路系運動は、身体の体運動構造上の

バランスや筋骨格系や神経系路において

の調律に常に休むことなく働き続けている

作用なのですが、活元運動はこの作用を、

より大きく効果的に発揮されるよう自律

運動として表面化することなのです。

 

活元運動の動きは、人それぞれで、その人の

その時の体に適った動きが出てきます。

腕を振ったり、上体を回したり、腰を捻った

りなど、様々な動きが淀みなく連続的に

変化しながら、その体にとって必要な運動

が発現するのです。

動きそのもので調整がされる面もあります

が、主要な点はその動きによって身体の

内部に呼応し引き起こされる調律作用と

言えます。

必要な動きが治まると活元運動は自然に

止まります。

その運動後に身体の内側で進む反応作用こそ

が、その調整能力の眼目たるもので、好転

反応ともいえるその経過によって身体は自律

調整能力がますます亢まっていくことになり

ます。





活元運動の勧め


活元運動は、身体の自律的な調整作用を

活用した自発的な内環運動といえます。


身体は常に意識しないまま、体バランス

を保つように運動系や神経系、内臓に

いたるまで全ての調整を自律的に行なっ

ています。


随意筋や不随意筋、それに絡まる自律

神経系統のすべてが無意運動系として、

個体を保持するために陰ながらに

立ち働いているのです。


そのような調整作用を野口整体では、

錐体外路系運動と呼んでいます。

(錘体路以外の運動経路を指すのです

が、意味合いからいきますと、双方を

含めた意味の無意運動系統と考えられ

ます)

この調整運動を、半意識的に誘導して

誘発しようというものです。


動きはおのずと、意図的でなく、その

動きの目的は当の本人にも分からない

動くままに動く運動であり、動きたい

ように動く運動でもあります。



以前はそう簡単には引き出せません

でした。

特別の作法や気合いや行を必要とする、

かなり高度な修養法と考えられていま

した。

しかし、野口整体の創始である野口晴哉は、

これを見事に整理された、明確な呼吸法と

して誘導し、発動することを可能にしたの

です。


それにより今では、ある種の垣根が取り

払われ、誰にでも静かであっても大きく

あっても、発現するものであり

いつでも、どこでも出来る自己調整運動、

自主管理法となったのです。



準備運動 ~体をひとつ弛める


◯準備運動

活元運動を身体の内部から自発させるには

まず、硬張った身体の何点かを、ひとつ

弛めておくことから始めます。

 

1,邪気の吐出

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準備運動 ①邪気の吐出

邪気の吐出、と呼ばれる最初の準備運動です。

息を深く長く吐き出し、鳩尾をひとつ、弛め

ます。


鳩尾は、頭の中の忙しさ、気がかりなことへ

の執着、他者や外界への協調しずらさ、心配事

の居座りなどの頭の緊張度合が現われます。

フッと頭を弛められない、、

気を抜けない、、

などが、この鳩尾の穴を硬張らせ、息を吐け

なくさせるのです。


肺に溜まった古い吸気をすべて吐き出すよう

なつもりで身体を前に屈めながら、吐き出して

いきます。


鳩尾と云う処は、胸骨の下部の真ん中、入江の

ように三角に奥まった部分にある剣状突起から

指三本下のあたりのへこみ、弛んだ穴にあいた

部分のことを指しています。


この鳩尾に第2指(人差指)、3指(中指)の

指先を軽く当て、大きく息を吐いていきます。

身体を前に屈めながら息を吐いていきます。

息を吐くごとに鳩尾の穴が、さらに弛んで

へこんで参ります。


鳩尾に当てた指先を、弛んであいてゆく穴に

添わせるように軽く押し当てさらに深く息を

吐いてゆき、身体を前屈みに折りたたんで

いきます。


この時、身体を屈める速度が早いと吐く息

より先に屈みきってしまいます。

身体を前屈みしていく速度をゆっくりとし、

息をゆっくり長く吐き切れるように微調整

しながら折りたたんでいきます。


身体の屈み具合は、おでこが床に付くか、

付かないかぐらいまでです。


腰の硬さやお腹のつかえる方などは、苦し

くないところまでで構いません。


吐く息が早すぎて、床近くに頭が到達して

しまい、そのまま息を吐き切ろうとします

と、逆に鳩尾が硬くなってきます。

ですから、なるべくゆっくりと身体を屈め、

息を口からはああと声に出して吐いていき

ます。


邪気の吐出が上手くいきますと、あくびが

出たり、涙目になったりして、首から上の

代謝が亢まり、頭が弛んできます

3、4回程度行ないます。

    

※あくび等が出るまで、何度もやっても

かまいません。

しかし、あまりムキになってやることは、

薦められません。

     

2,腰を捻じる

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準備運動 ②捻り運動

腰を捻ります。

頭をまずひとつ弛め、次に腰の硬張りを

ひとつ抜いておくのです。


左側から捻ります。

左手側から背中を見るように少し、後方

に反りながら捻るようにします。


この時、捻る方向と反対の足の内股に

逆側の手(右手)を当てると捻りやすい

のです。

   

ぐううと、捻り、捻りきったところで

少し力を溜めてポッと抜きます。

ポッと抜くことで、フワッとその反動で

上体が元に戻るように抜くのです。


左右を交代に捻り、これも3、4回行な

います。

捻りにくい方がありますから、その方向

だけ2回ぐらい追加してもよいです。



◆止めの呼吸法(深息法)

(運動の最後に、運動を途中で止める時に

 行なう呼吸法)


活元運動は、身体の中から自発的に動き

が出てくる運動ですから、自然に動きが

治まるまで出し切ってしまう方がよいの

です。

動きには亢まりと終息があり、全体に静か

になって終わります。

   

しかし、最初のうち、訓練として習いたて

の頃は、この動きの途中で、運動を止める

ことも「要求の中断」として運動の質を

亢める一工夫になります。


ただ、活元運動は途中で俄かに目を開けた

り、ハッと意識運動に切り替えたりする

ことは好ましくありません。

そこで、途中で終える場合などには、身体

に節目を付けるために呼吸法を用います。


深息法という呼吸法を使います。


息を深く吸い込み、下腹の丹田あたりに

ぐっと下ろし、身体を緊張体勢にした状態

で、目を開けるのです。

活元運動は弛み、弛んでいく動きですから、

息を吸い込んで、こらえた状態をつくり、

引き締めた状態で日常のこの世界に戻って

くるという感じです。 


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止めの呼吸法  深息法

①息を口から吸いこみます。

この時、手を下腹や足の付け根などにおいて

丹田におのずと感覚が集まるようにしておき

ます。

※鼻から息を吸い込むのでは駄目です。

口からすううと吸い込まないと腹に落ちま

せん。


②息はまだ、吸い込めてヘソより上方まで

しか吸い込めていません。

そこで、さらに吸いながらその息をいったん

胸に吸い上げるようにします。

肺と肋骨が大きく膨らみ上向きに持ち上げら

れる感じです。


③胸に吸い上げた状態でしばらくこらえて

いると、自然と上がっていた肋骨が下がって

きます。

それに合わせて「うーむ」と声に出し、同時

に吸い込み吸い上げた息を一気に下腹に下ろ

します。

丹田が充ちるように、下腹全体が背側までも

大きく膨らむような具合に下ろすのです。


④丹田に落ちたらしばしこらえて、気が充ち

ていくのを感じ、目を片目づつ開けてから、

ゆっくりと息を呼きます。

    

これらは一連のひと息の吸気となります。

吸って、吸い上げて、「うーむ」と下ろすの

です。

「うーむ」と声に出すことで鼻から少し息が

漏れるのです、「む」で丹田にすとんと落ち

るような感じで行ないます。


   

少し、訓練が必要な呼吸法です。

簡単には下ろせません。

習熟して丹田に充つるように息を矯められる

ようになると、この呼吸法は普段でも行なう

ことで、腰の強化法になります。


最初の頃は、難しいので息を吸い込んでグッ

とこらえ、身体をひとつ引き締めた状態で

目を開けて、ゆっくり呼くと云う風な感じ

でもかまいません。


いずれにしても緊張を作り出して、それ

から止めると云うことを習慣とすると良い

のです。



誘導法(活元の発現誘導)


誘導法は、活元運動そのものを誘発する

ための事前運動です。

活元運動は、身体が常日頃、意識の裏側

で体バランスを保つために行なっている

自律調整作用です。


常に動いている体運動を、より大きく表側

に出そうとするのですから、身体にとって

ひとつ緊急的な非常力の出動を促す刺激を

与えないとなりません。


そのため、身体にとって不自然でアンバラ

ンスな呼吸を与えるようにします。


それが、以下の誘導法である所作となり

ます。


活元運動~誘導法


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~運動の発現の誘導

①親指を内側に握りしめるよう拳を作り、腕

をななめ前方から肘をくの字に曲げながら、

肩甲骨を寄せるように後方に反らせていき

ます。

     

②これを、息を呼きながら行なうのです。

はあーと声に出し、ゆっくり呼きながら動作

をします。


※肩甲骨をぐうと寄せるのに、力が集まって

ゆくように溜めますから、身体にとっては

非常に力感のある大きな、普段行なわない

動作となります。

これが、呼く息で行なわれるため、身体に

とっては不自然で負担のある動作なのです。

そこで、無意運動系の調整作用がおのずと、

この不自然なアンバランスを調整しようと

発動されるのです。


③身体を後方に反らせ、肩甲骨を寄せなが

ら脊椎の上部から順々に力点を下に下ろして

いきます。

脊椎に集まった力を一つひとつ下ろしながら、

腰椎のあたりまで下ろし、息を呼き切った

ところで少し奥歯を噛みしめます。

     

④少し耐え、ポッと弛めます。

フワッと腕が戻るよう、腰あたりの力をフッ

と抜くのです。

一瞬で、身体じゅうの力が抜け、弛むように

します。


⑤この動作を3回行ない~身体にとって負担と

なる動作のため3回までです~首を弛め、目を

閉じ、手のひらを膝の上に上向きに置いて、

ポカーンとして活元運動の内動を待ちます。

    

   

自律動(活元の発現)


活元運動~自律運動の動き

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ポカーンとして、体が揺れるように

動き始めたら、そのまま動きに任せ

動きを止めないよう、また意識的に

動かそうとしないで、体の動くまま

に任せておきます。

ポカーンとしたまま活元運動を

続けます。





■ さらに 身体気法会TOPもご参考に。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~kihou10/ 


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