体癖

体癖 

 

体癖というのは、

個々のその人特有の身体の動き方、

使い方、その特性的な癖や偏り方向が、

その人のその人となりを作り出して

いるのではないだろうかという、

体運動の習性から捉えた「個性」のこと

です。

 

一般的には、身体の運動方向の偏り習性と

いうのは、その人自身にとってはマイナス

要因であって、修正すべき改良点であると

考えられます。

けれど、野口整体では、この偏り習性こそ

が、その人自身を最も活き活きと発揮する

しなりの様な動的なエネルギーであると

捉えるのです。

しなりというのは、そのモノの材質、繊維

の方向やその張力や硬度など、あらゆる

条件に応じて、必然に生み出される力の

効率的な伝播と瞬発性を弾き出すための

前段のタメの様なもので、そのあまりに

圧縮された力の適正化を図るために

勢い余って拵えられた空気抜きやアソビ

のようなものなのです。

 

この独特のしなりようが、

その人の特性であり、

その人の個性であると考えるのです。

それは裡側の要求が、 

亢まった末に発現しようとする道筋で

あって、その加速する勢いの余りに

たわむ、反、であり、偏差であり、

その力ゆえのしなり、であるのです。

 

体癖とは、そのたわみようこそ

個性なのだと、そう考えるのです。

 

そしてその方向、たわんで

しなる度合いとその歪み度を決定する

筋骨格の方向と感受性の偏在濃度こそが、

体癖的要素であり、特性傾向を決定して

いるのだと、そう捉えた人間理解のための

すぐれた方法だと言えます。