企画の立ち上げ

にあたって

 私にとって、所属する藝大フィルハーモニア管弦楽団での演奏活動を通じ、才能に溢れた多くの若手演奏家と接し、また交流をしていくことは、とても刺激的でワクワクする時間です。そうした経験から、「教育」という一方向なものだけではなく、第一線で活躍している演奏家と若手演奏家、とりわけ未来に向けて実践の場を重ねている若手指揮者が、互いに有機的な繋がりを持って活動をすることが出来たらとても面白いものが生まれるのではないか、またいつかその様な機会を持ってみたいと漠然と考えていました。


 2020年に新型コロナウイルス感染症が流行し、多くの演奏会は中止または延期を余儀なくされ、音楽界は未だかつてない苦しい状況に追い込まれました。演奏をしたくとも出来ないという困難な状況が続いておりましたが、逆にこのような状況であるからこそ、ひょっとしたら思い描いていた企画も形に出来るのではと考え、強い情熱を持った三名の指揮者と一緒に試行錯誤を重ねながら、第1回の公演(無観客での動画撮影)を作り上げました。2021年の第2回からは近藤千花子さん、水谷晃さん、また制作の荒井風香さんと私の4名が発起人となり、趣旨に賛同して下さった演奏家の皆様と共に、より一層の発展に繋げていけたらと考えています。


ファゴット奏者 依田晃宣