設立趣旨

建築から社会に貢献する会（略称NPO-CAP）設立にあたって         理事長      宮田 章

現代の日本社会は大きな岐路にさしかかっています。急速な高齢化をむかえていますし、経済の国際化は社会における価値観や雇用問題などにも影響を与えています。

建築分野は一般社会とのつながりが深いだけに、それらを色濃く反映し、その結果生じている問題も少なくありません。これらの解決には今までの日本社会の良さを生かしながら、柔軟に取り組むことが求められています。

2007年以降の多くの企業での大量の定年退職は、技術の継承を困難にしています。一方ではこの豊かな経験を持つ退職者は、日本社会にとっては貴重な資源であるといえますし、様々な分野で有効に活用されることが望まれます。

建築関係においては他分野以上に経験的要素が必要であるだけに、退職者等の能力を活かすことは、重要であると思われます。

最近は、建築関係者以外の一般の人々のなかでも、建築への関心はたかまっています。建築生産に関わる種々の問題については、社会の厳しい目が向けられていますし、各地の歴史的な地区における散策ブームは、時代的な郷愁や街並みへの関心のあらわれと言えます。今後、このような分野にも経験が豊富で時間にも余裕のある建築技術者が参加することは、社会にとっても有益であると思われます。

現代社会の問題は倫理観とモラルの欠如にあると思われますが、これらに気を配る余裕もないのが現実と思われます。時間と精神的余裕があれば、これらの観点からも問題に取り組むことが可能と思われますし、退職後の技術者の生きがいにも通じるものと思われます。しかしながら個人的活動では限界があるため、特定非営利活動法人として、社会的信用のもとで、今後の高齢化社会における積極的役割を果たしていきたいと思います。 日本的なものの良さは心の豊かさであると思われます。参加メンバーの経験と知恵により、人のつながりを大事にし、社会に貢献することを目指したいと思います。