「会話分析とメタファー」要旨

「会話分析とメタファー ―相互行為の資源としてのメタファー―」

杉本 巧(広島国際大学)

会話をデータとするメタファー研究は、特に国内ではまだ少数である。しかし、日常の最も基本的な活動のひとつである会話のなかで、メタファーが何をするために、どのように使われているかを観察することには、大きな意義があると考えられる。本発表では、まず、Lynne Cameronの研究をはじめとする、会話をデータとしたメタファー研究の成果を概観する。次に、相互行為としての会話において参加者がメタファーを使ってしていることを明らかにする方法として、Sacks, Schegloff & Jefferson (1974)、Schegloff, Jefferson & Sacks (1977)から始まる会話分析の手法を導入し、メタファーを会話の相互行為の「資源」としてとらえることを提案する。最後に、現在行っている共同研究の事例を紹介しながら、今後の展望を述べる。

講師紹介

杉本 巧(すぎもと・たくみ)。広島国際大学准教授。専門分野は、日本語学、 言語学、 日本語教育。近著論文は「メタファーと発話の連鎖―「枠組み」設定としてのメタファー表現―」(2015日本語用論学会第17回大会発表論文集、鍋島弘治朗氏との共著)。