避妊以外のピルの副効果・メリット

ピルの避妊以外の利点(副効用)

低用量ピルのメリット・避妊以外の効果

ピル服用には、副効用ともいうべきいくつかの利点が明らかにされています。

低用量ピルは避妊効果だけでなく、女性に以下のようなメリットをもたらすことが広く知られています。

生理が軽くなり(生理痛、出血量ともに)、生理周期が安定する

生理前のイライラ(PMS)がなくなる

肌荒れ、ニキビが軽くなる

子宮体がん、卵巣がんになりにくくなる

子宮内膜症が治る

乳房の良性腫瘍の発生率が下がる

低用量ピルの4周期使用で

子宮内膜症に伴う月経痛が改善

子宮内膜症に伴う痛みがある18歳以上の女性100人を2群に分け、一方には低用量ピルを、もう一方には偽薬を、28日を1周期とし4周期投与。症状の変化を調べた。結果、ピル群は自覚的な月経困難症スコアが1周期目から改善。3cm以上の卵巣嚢腫も有意に縮小した。

月経痛を治療することで、子宮内膜症の芽を摘む

月経痛は一般に、発痛物質のプロスタグランジンが子宮内膜に多く存在するために起こると考えられています。

鎮痛薬は発痛物質をつくるCOXという酵素の働きを抑えて痛みを鎮める。そのため薬の作用が切れるとまた痛くなってきます。

一方、「低用量ピルは酵素の量そのものを減らす作用があります。

さらに発痛物質をつくる子宮内膜を薄く保つ作用もあるので、痛みを持続的に抑えられる」と聖路加国際病院女性総合診療部の百枝幹雄部長は話す。

知覚神経に対する作用もあります。一般に子宮の知覚神経の分布は筋層にとどまるが、子宮内膜症の患者では子宮内膜にまで伸びています。

そのため子宮内膜がはがれる月経のたびに強い痛みを感じるという。

「低用量ピルを使うと神経を増殖させる因子(NGF)が抑えられ、神経の分布が減る。

これが子宮内膜症の痛みを抑える大きなメカニズムの一つ」という。

月経痛がある人はそれが当たり前だと思いがちだが、鎮痛薬をのまなければ耐えられないほどの痛みが毎月のように起こる場合は子宮内膜症の芽が潜んでいる場合が少なくない。

「単なる月経痛」を子宮内膜症に発展させないためのポイントは二つ。

「月経痛が強いなら早めに低用量ピルを使う事です。そして、妊娠したいと思う日まで継続すること」。

卵巣がんなどシリアスな病気を防ぐメリットも

低用量ピルを継続して使うメリットはほかにもあります。

たとえば避妊。

毎日ほぼ同じ時間に1錠ずつきちんと服用すれば、ほぼ100%に近い避妊効果が得られます。

ピルの効果・3つのポイント

月経周期の調節・コントロール

恋愛、仕事、結婚。忙しい現代女性にとって、毎月の月経はからだと心の負担になります。大切な会議の日と月経のピークが重なりそう…。海外旅行中に月経が来るのかどうか、わからない…。「いっそ半年に1回になったら、どんなにラクかしら」なんてつい考えてしまいます。そこで低用量ピルの出番。ピルを飲んでいる間は、月経がきちんきちんと28日周期で訪れます。つまり1カ月の予定が格段に立てやすくなるということ。さらに、月経を長期間ずらしたい場合は、ホルモンが含まれている実薬を飲み続けるだけで月経を先送りすることができます。

月経困難症

月経が始まると吐き気がして何も食べられない。腰や下腹が痛くて寝込むこともある。こんな辛い症状に悩まされている女性は案外多いですね。普段の生活が妨げられるほど症状がひどい場合を「月経困難症」といいます。10代では子宮が未成熟であるために起こりやすいのですが、20代を過ぎても辛いようであれば、子宮内膜から分泌されるプロスタグランジンによるものと考えられます。プロスタグランジンは本来、出産時に陣痛を起こす物質で、臓器をぎゅっと収縮させる働きがあります。痙攣(けいれん)性の腹痛を、この低用量ピルの服用によって軽くすることができます。

出血量については2周期以上低用量ピルを飲み続けることによって、出血が43%減少したという報告があり、ピル・ユーザーからはナプキンの使用量が格段に減ったという話もよく耳にします。

ピルが原発性月経困難症を軽減するかどうか断定するには根拠が不十分であるとの報告があります49)。

しかし、その後実施された小規模な無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ピルの使用によって月経時の痙攣性の腹痛が有意に軽減されたと報告されています50)。

b.過多月経

過多月経については、ピルが月経血量を減少させることを裏付けるには根拠が不十分であると結論しています51)。

小規模の無作為試験ではあるが、2周期を超えるピル使用で月経血量が43%減少したとの報告されています52)。臨床的にはピルの使用によって女性の月経血量は減少します。

c.子宮内膜症

近年、子宮内膜症に悩まされる女性が増えてきました。子宮内膜症とは月経時にはがれ落ちる子宮内膜が子宮以外の場所で増殖し、月経のたびにそこで出血してしまう病気です。症状としては、月経痛がひどくなる、月経期間が長引く、月経時の出血量が多くなる、セックスのとき痛みがある、などがあげられます。進行すると月経以外のときも腰や下腹部が痛み、毎日の生活に支障が出てしまうことも。また子宮内膜症は不妊の原因になるといわれています。

子宮内膜症の治療は、間違った場所で増殖している組織を手術で取り除き、経過を見ながらホルモン剤で症状をコントロールすることが基本です。日本では性腺刺激ホルモンの分泌を強力に抑える内膜症治療用の薬が使われていますが、欧米ではまず、一相性の低用量ピルを使用するケースがほとんどです。低用量ピルの使用で専用薬による治療と同じくらい、月経時以外の腰や下腹部痛が軽くなったという報告や、病巣そのものに良い影響があったという報告もあります。子宮内膜症の治療薬として認可されている低容量ピルもありますので、かかりつけの医師に相談してみましょう。

子宮内膜症については、ピルの月経痛軽減効果がゴナドトロピン放出ホルモン作動薬より劣ることを示す無作為試験を文献上1件確認したが、性交痛および月経時以外の疼痛の緩和効果は同程度であった53)と報告しています。

最近では、7日間の休薬期間を取らずに3‐6周期連続して服用を続ける長期

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療法では、月経困難症や子宮内膜症に好影響を及ぼすとの報告があります。

卵巣癌

長い間、低用量ピルは「がん」の発生を増加させるといわれてきました。しかし最近の研究で、がんの種類によってはむしろリスクを減らすことがわかっています。特に卵巣がんは低用量ピルを飲み続けている女性では、リスクが40~50%低くなったという報告があります。また、死亡率も低用量ピルの服用期間が長引くにつれて低下し、さらに服用を中止してからも15年後まで卵巣がんのリスク低下効果が持続したそうです。卵巣がんは卵巣が毎月の破裂と修理を繰り返すことで生じるとされており、低用量ピルの服用により卵巣が「お休み」することで、結果的にがんの発症を抑制すると考えられています。

また子宮体がんのリスクは50%低下し、その効果も服用中止後10年まで持続することが裏付けられています。このほか大腸がんのリスクも抑えられることが確認されています。

卵巣癌について、4件のコホート研究および21件の症例対照研究による系統的レビューによれば、35 μgを超えるEEを含有するピル服用歴のある女性の上皮性卵巣癌発症リスクが40~50%低くなったとの報告があります54)。

含有するEEが35 μg未満のピルもこの予防効果を発揮することを裏付ける根拠が最近の後向き症例対照研究で得られています(オッズ比(OR) 0.5、95%信頼区間(CI) 0.3~0.6)55)。

卵巣癌の死亡率は、ピルの使用期間が長期化するのに伴って低下しており7)、卵巣癌リスクの低下はピル中止後15年まで持続したとの報告があります54)。

子宮体癌

子宮体癌について、症例対照研究で、ピルの使用により子宮体癌リスクが50%低下することが示された59)。これは3件のコホート研究および16件の症例対照研究による系統的レビューによって裏付けられた60)。

子宮体癌の死亡率もピルの使用によって低下し7)、しかもこの効果は5年後も認められ、使用中止10年後まで持続します。

卵巣嚢胞

卵巣嚢胞について、症例対照研究およびコホート研究で、ピルを服用しています女性では機能性卵巣嚢胞56、57)および良性卵巣腫瘍58)の発生率が低いことが明らかにされています。

g.大腸癌

大腸癌について、看護師健康研究(The Nurse Health Study)で、ピルの使用によって大腸癌リスクが抑制されることが確認されています。さらにピルの使用により大腸癌リスクが抑制される証拠はメタ解析でも立証され、全体の相対危険度(RR)は0.82(95% CI 0.74~0.92)61)でした。

しかし、ピルを服用することで予防効果がありますかどうかは未だ明確ではありません62)。

h.骨粗鬆症

加齢とともに女性のQOL(生活の質:クオリティ・オブ・ライフ)を損なってしまう代表的な病気はなんでしょう? がん? 生活習慣病? いえいえ、実は骨粗鬆症なのです。寝たきり要因の第3位は骨粗鬆症による転倒骨折という報告もあります。女性はもともと骨が細く骨量が少ないことに加え、エストロゲンの分泌低下によって閉経後に急激に骨量が減るため,骨がスカスカになり骨折しやすくなってしまうのです。エストロゲン?とそこで気がついた方は低用量ピルについてだいぶ勉強されていますね。そう。低用量ピルを服用し続けることによってエストロゲンが補充されるので、骨密度の減少を抑える効果が期待できるのです。また40歳以上の女性が低用量ピルを服用すると、閉経後の大腿部骨折の発生を抑制するとされ、過去の服用経験者でも骨折が25%低下するという報告があります。

骨粗鬆症について、ピルは加齢による骨密度(BMD)の減少に対して予防効果を現すことがあります63)。

これを裏付ける根拠がピル服用者を対象とする最近の小規模な前向き横断的研究で明らかにされた64)。

しかし最近の他の横断的研究では、ピル使用によるBMDの変化を確認できませんでしたとの報告もあります65)。

ある症例対照研究では、40歳以上でピルを使用すると閉経後の大腿骨頚部骨折発生率を有意に抑制するとされ、40歳以上のピル服用者では、過去のピル使用により大腿骨頚部骨折が25%低下するという報告もあります66)。

i.尋常性ざ瘡(にきび)

尋常性ざ瘡(にきび)について、小規模な無作為試験では、ピルの使用によってざ瘡病変が有意に軽減することが報告されています67,68)。

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j.他の良性疾患

他の良性疾患について、あるメタ分析によれば、ピル使用によって関節リウマチの発生率が30%低下したと報告されています69)。また、良性乳房疾患のリスクが低値でしたという疫学研究のレビューもあります70)。

1970年代後半に開始された、病院を対象とする症例対照研究では、ピルの骨盤内感染症の予防効果を示す十分な根拠が得られませんでした71)。月経前症候群および他の心因的障害の管理にピルが有効であることを示す根拠はない72)。

低用量ピルのメリットとデメリット・長所と短所

表6.ピル服用に伴う副効用

発生頻度

月経困難症 ⇒減少

過 多 月 経 ⇒減少

子宮内膜症 ⇒減少

貧 血 ⇒減少

良性乳房疾患 ⇒減少

子宮外妊娠 ⇒減少

機能性卵巣嚢胞 ⇒減少

良性卵巣腫瘍 ⇒減少

子 宮 体 癌 ⇒減少

卵 巣 癌 ⇒減少

大 腸 癌 ⇒減少

骨 粗 鬆 症 ⇒減少

尋常性ざ瘡(にきび) ⇒減少

関節リウマチ ⇒減少