女性ホルモンの配合による分類~一相性・二相性・三相性
一相性・二相性・三相性とは?(いっそうせい・にそうせい・さんそうせい)
低用量ピルとは、エストロゲンとプロゲストーゲンを使用した、経口避妊薬(OC)です。
錠剤に配合されている女性ホルモンの量が、
- すべて同じタイプ⇒一相性
- 段階的に含有量が違うタイプ⇒二相性・三相性
とに分けられます。
一相性と段階型ピル(二相性・三相性)に、避妊の効果に差はありません。
日本で認可・発売されている低用量ピルは、11製剤です。
すべての製剤が、
- 合成卵胞ホルモン(エストロゲン)
- 合成黄体ホルモン(プロゲストーゲン)
を使用しており、
卵胞ホルモン(エストロゲン)としては、全て、エチニルエストラジオールが使われていますが、
プロゲストーゲンは、
- 第1世代のノルエチステロン
- 第2世代のレボノルゲストレル
- 第3世代のデソゲストレル
が使われます。
どの製剤も28日を一周期とし、21日間服用する点で共通していて、プラセボを含むものは28日間投与式になっています。
女性の生理周期は必ずしも28日ではありませんが、ピルを服用することで、28日周期に調整されていきます。
- 一相性=1種類の錠剤
- ⇒全ての錠剤のホルモン含有量および配合比が同じ
- 二相性=2種類の錠剤
- ⇒ホルモン含有量および配合比が、2段階に変化する
- ⇒【Aの錠剤+Bの錠剤の組み合わせ】
- 三相性=2種類または3種類の錠剤
- ⇒ホルモン含有量および配合比が、2段階または3段階に変化する
- ⇒【Aの錠剤+Bの錠剤+Aの錠剤の組み合わせ】、または、【Aの錠剤+Bの錠剤+Cの錠剤の組み合わせ】
三相性の低用量ピルの特徴
三相性経口避妊薬は、避妊効果を維持しながら副作用を減らすため経口避妊薬のホルモン量を低用量化し、かつホルモン量の不足が原因となる副作用(破綻出血の発現)を防ぐために考案されました。
3段階に含有量の違う錠剤を服用します。生理的な月経周期のホルモンパターンに近づけたもの。
段階型のいいところは、不正出血を防ぐ工夫がしてあったり、服用開始を月経開始から最も近い日曜日から始めるサンデーOCと月経初日からスタートするDay 1 OCがあります。
トリキュラー、マーベロン、オーソ、シンフェーズを 扱っています。
ちなみにトライディオールは製造中止になりました。
漸増型
避妊効果を一層確実にし、より、生理的なホルモン環境を得るために、計3回の組み合わせ
女性の月経周期を真似てデザインされた
エストロゲンとプロゲストーゲンの量を段階的に変化させているので、1周期あたりのホルモンの服用量を減らすことで
副作用等の軽減を図っている。
ホルモン剤を休薬する7日間の間に消退出血が見られる。
消退出血とは、性ホルモンのレベル低下によって子宮内膜から生ずる出血のこと。
このように、外からのホルモンの中止によって起こる外因性のものや、月経のように内因性のものもある。
多相性(二相性、三相性など)→女性のホルモンバランスにあわせて変化させた配合のピルを飲む、副作用が少ない反面、飲む順番を間違えてはいけません
3相性
ノリニールT28
sunday1スタート
NET=
7日=0.5mg
9日=1mg
5日=0.5mg
総量=15.0mg
EE=
0.035x21=0.735mg
③ノリニール T28Ⓡ
エチニルエストラジオール0.035mg日、前半7日間と後半5日間のノルエチステロンを0.5mg日とし、中9日間は1mg日としています。
これはプロゲストーゲン総量を低用量化しつつ中間期での出血を防止することを目的としています。
④オーソ777-21Ⓡ
エチニルエストラジオール0.035mg日、ノルエチステロンは0.5mg、0.75mg、1mgと7日ごとに増量しています。
つまり前半はエストロゲン優位に、後半はプロゲストーゲン優位にする目的でエストロゲン量を固定し、プロゲストーゲンを3段階で増量させたものです。
⑤トリキュラ-21(28)Ⓡ、⑥トライデイオール21(28)Ⓡ、⑦アンジュ21(28)Ⓡ
最初の6日間をエチニルエストラジオール0.03mg日、レボノルゲストレル0.05mg日、次の5日間を各々0.04mg日、0.075mg日、後半の10日間を各々0.03mg日、0.125mg日と3段階に用量を変えています。
本製剤の特徴は中間期にエストロゲンを優位にし、月経周期における生理的なホルモン変動に近似したもので、破綻出血が減少します。
http://www.nichiyaku.or.jp/contents/info_99/pdf/n990903.pdf
http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6110-510.pdf