世代による低用量ピルの分類~第一・第二・第三・第四世代
世代別の黄体ホルモン~第一・第二・第三・第四世代のプロゲスチン
低用量ピルは、黄体ホルモンの種類によって、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代に分類することができます。
ちなみに、ピルに使用される黄体ホルモンは、すべて、人工的に作られていて、【プロゲスチン:Progestin】と呼ばれます。
一方、天然の黄体ホルモンは、【プロゲステロン:Progesterone】と、呼ばれます。
プロゲスチンは、主に低用量ピルの成分として使用されますが、プロゲスチン単剤としても使用されています。
プロゲスチンの世代は、以下のように分類されます。
- 第一世代=ノルエチステロン(Norethisterone:NET)
- 第二世代=レボノルゲストレル(Levonorgestrel:LNG)
- 第三世代=デソゲストレル(Desogestorel:DSG)
- 第四世代=ドロスピレノン(Drospirenone:DSPR)
- ジエノゲスト( Dienogest:DNG)
世代別プロゲスチンの作用比較表
レボノルゲストレル(第二世代)
- プロゲステロン活性=5.3倍
- アンドロゲン活性=8.3倍
デソゲストレル(第三世代)
- プロゲステロン活性=9.0倍
- アンドロゲン活性=3.4倍
ジエノゲスト(第四世代)
- プロゲステロン活性=5.3倍
- アンドロゲン活性=ゼロ
※ノルエチステロンを”1.0”としての相対的比較です。
世代別プロゲスチンの特徴と販売されている低用量ピル
プロゲスチンは、基本骨格がステロイド骨格からなるため、各種ステロイドホルモンへの作用を考慮しながら、開発が進められてきました。
低用量ピルは、【プロゲスチン=合成黄体ホルモン】の開発時期・販売時期によって分類され、世代が上がるほど、作用も強くなっています。
例えば、アンドロゲン作用が強いプロゲスチンの場合、ニキビや脂質代謝への影響などを考慮する必要があります。
ノルエチステロン(NET):第一世代
ノルエチステロンは、第一世代のプロゲスチンです。
アンドロゲン作用と、弱いエストロゲン作用があります。
ノルエチステロンを使った低用量ピルには、
が、あります。
また、子宮内膜症に伴う月経困難症治療剤として、ルナベルがあります。
ちなみに、ルナベルとオーソMは、中身は同じです。
- オーソM=経口避妊薬
- ルナベル=月経困難症治療薬
レボノルゲストレル(LNG) :第二世代
レボノルゲストレルは、第2世代のプロゲスチンです。
第一世代に比べ、黄体ホルモンが持つ、排卵抑制活性作用が強くなりましたが、相対的にアンドロゲン作用(男性ホルモン活性)も高くなりました。
避妊効果は高いのですが、ニキビや多毛等の高アンドロゲンによる症状は、改善しない可能性があります。
レボノルゲストレルを使った低用量ピルには
- アンジュ
- トリキュラー
- ラベルフィーユ
があります。
これらの薬剤は、ホルモンの配合比が3段階に分かれた、3相性のピルになります。
レボノルゲストレルは、緊急避妊薬の「ノルレボ」にも、含まれています。
また、「ミレーナ」という子宮内避妊具は、LNGを少量長期放出させるタイプのものです。
これは避妊具だけではなく、子宮内膜症や子宮腺筋症の治療薬としても使用されます。
デソゲストレル(DSG) :第三世代
デソゲストレルは、第三世代のプロゲスチンです。
第二世代で強くなってしまったアンドロゲン活性を低減させるために開発されました。
プロゲステロン作用をさらに強くすることで、相対的に、アンドロゲン作用も低下していて、ニキビも出にくくなっています。
1相性のため、月経周期のコントロールに利用しやすいことも特徴です。
デソゲストレルを使った低用量ピルには
- マーベロン
- ファボワール
があります。
ジエノゲスト(DNG):第四世代
ジエノゲストは、第四世代のプロゲスチンです。
プロゲステロン活性のみで、アンドロゲン作用が全くない、理想的な薬剤です。
ジエノゲストは、子宮内膜への強い作用があり、排卵を抑制し、月経量を減少させます。
結果的に、子宮内膜症の症状緩和させることができるので、子宮内膜症治療薬として保険適用となっています。
また、子宮内膜症によるチョコレートのう腫の手術後、妊娠希望までの再発予防や、月経困難症等での疼痛コントロールの目的でも使用されます。
「ディナゲスト」として子宮内膜症などによる月経困難症に対して使用されています。
エストロゲンを低下させる作用が少ないため長期投与も可能です。
ドロスピレノン(DSPR):第四世代
ドロスピレノンは、第四世代のプロゲスチンです。
プロゲステロン活性が高く、アンドロゲン作用が全くない薬剤です。
しかもアンドロゲンの作用を抑える働きまであるため海外ではニキビのお薬としても使用されています。
この薬剤を使用している方は明らかにニキビや吹き出物が減ったと言われますね。
また浮腫というむくみの副作用も少ないのも特徴です。
「ヤーズ」という薬剤で主に月経困難症などに使用されます。
ニキビに有効でホルモン含有量が最も少ないため、前者は海外で汎用されています。
その他のプロゲスチン
ジドロゲステロン(dydrogesterone)
天然型のプロゲステロンの構造を少し変えた薬剤で「デュファストン」として発売されています。
子宮内膜増殖作用があるので不妊治療で黄体補充療法などに使用されます。
プロゲスチンの中では唯一、体温上昇作用がありません。
酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)
子宮内膜増殖症や子宮体がんの治療に使用されます。
「ヒスロン」や「プロベラ」や「プロゲストン」などの薬剤があります。
子宮内膜増殖症の患者さんには例えばプロベラ2.5mg 1日3回投与を3ヶ月くらい持続的に投与することで内膜を萎縮させることが期待できます。
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プロゲステロン製剤の使用方法
月経不順
月経不順も沢山の原因が考えられますが、エストロゲンの分泌は保たれているがプロゲステロンの分泌が低下している第1度無月経の治療に使用されます。
いわゆるホルムストローム(Holmstrom)療法です。
妊娠の希望がなければ無排卵でも差し障りはありませんので1〜3ヶ月に1度消退出血を起こします。
内服例;
デュファストン5mg 1日1〜3錠 10日間内服
プロベラ2.5mg、ヒスロン5mg、プロゲストン2.5mg 1日1〜3錠を10日分
黄体機能不全
黄体機能不全は、黄体期に黄体ホルモンが十分に分泌されずに不妊症や不育症の原因となります。
内服例;
デュファストン5mg 1日1〜3錠 排卵確認2日後くらいから12日間内服
子宮内膜症
子宮内膜症は本来子宮内に存在するはずの子宮内膜が子宮外の卵巣や腹膜などに発生し、月経時に強い月経痛を起こす病気です。
排卵、月経の周期により繰り返されるので排卵を抑制し月経量を減少させることで子宮内膜症の症状緩和させることができます。
プロゲスチンの一つであるディナゲストが理想的な薬剤となります。
子宮内膜症によるチョコレートのう腫の手術後、妊娠希望までの再発予防や疼痛コントロールの目的でも使用されます。
低用量ピルを使用しても月経困難症を軽減させることができますが
ディナゲストはエストロゲン作用がないため血栓症の心配がなく長期間使用しやすい薬剤です。
長期投与中に少量の性器出血が持続する副作用があります。
このような出血の予防として、数ヶ月低用量ピルなどで内膜を薄くして、ディナゲストを内服するという方法があります。
ディナゲスト 1mg 1回1錠 1日2回内服 連日投与
子宮内避妊具である「ミレーナ」はプロゲスチンを長期間放出し、しかも子宮内膜のみに局所的に作用するものです。
避妊具でありながら子宮内膜を萎縮させるという働きから子宮内膜症の治療などにも使用されます。
子宮体がん
子宮体がんの初期や再発して他の臓器に転移が見つかった場合などはプロゲスチンを使用したホルモン療法も検討されます。
この場合はMPAが使われますが、月経不順などで使用される「ヒスロン5mg」では足りません。
大量のプロゲスチンが含まれる「ヒスロンH200mg」が使用されます。
合成された黄体ホルモン製剤(プロゲステロン製剤)のことをプロゲスチンと呼びます。
プロゲスチンは沢山の種類があり開発された時期により第1世代から第4世代まであります。
主に低用量ピルの成分として使用されますがプロゲスチン単剤としても使用されています。
無排卵による第1度無月経、黄体期に黄体ホルモンが放出されず不妊症や習慣性流産となる黄体機能不全などにはデュファストンという薬剤が、
また子宮内膜症の症状緩和に使用される新しい薬剤であるディナゲスト、
子宮内避妊具でありながらプロゲスチンが長期間放出され子宮内膜症の治療にも使用できるミレーナなどがあります。
子宮体がんは子宮内膜のがんなので、
ヒスロンH(通常のヒスロンよりも多量のプロゲスチンが含まれている)が初期子宮体がんなどで使用されることもあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は本来子宮内に存在するはずの子宮内膜が子宮外の卵巣や腹膜などに発生し、月経時に強い月経痛を起こす病気です。
排卵、月経の周期により繰り返されるので排卵を抑制し月経量を減少させることで子宮内膜症の症状緩和させることができます。
プロゲスチンの一つであるディナゲストが理想的な薬剤となります。
子宮内膜症によるチョコレートのう腫の手術後、妊娠希望までの再発予防や疼痛コントロールの目的でも使用されます。
低用量ピルを使用しても月経困難症を軽減させることができますが
ディナゲストはエストロゲン作用がないため血栓症の心配がなく長期間使用しやすい薬剤です。
長期投与中に少量の性器出血が持続する副作用があります。
このような出血の予防として、数ヶ月低用量ピルなどで内膜を薄くして、ディナゲストを内服するという方法があります。