PMDD:月経前不快気分障害
月経前不快気分障害(げっけいまえふかいきぶんしようがい)
=Premenstrual Dysphoric Disorder:PMDD
月経前症候群(PMS)の症状の中でも、特に精神的不調が重く、日常生活や社会生活に支障をきたすほどの状態を月経前不快気分障害(PMDD)と呼びます。
普段は、問題なく生活している女性が、生理前になると攻撃的、暴力的になったり、重度の抑うつ感から自殺願望や自傷行為を引き起こしてしまうこともあります。
月経前不快気分障害(PMDD)とは
PMDDは、PMSと同様に生理前の約2週間に限って、症状があらわれる特徴があります。
そのため、基礎体温を毎日つけることで、自分の症状がPMDDやPMSであるか、判断しやすくなります。
PMDDは、根本的な原因を解明し、それに沿った治療を行えば、数か月で改善するといわれています。
- PMSの症状の激しいものが、PMDDである
- PMDDは、PMSと同様に、月経周期に合わせて、症状が出現する
- PMS同様、症状が現れる期間が限定されている
- 生理が始まってから、遅くとも1~2日で、症状は消滅する
PMDDの元になるPMSの代表的な症状
精神的なPMSの症状
イライラ・情緒不安定・不安感・焦燥感・集中力の低下・抑うつ感・緊張感・怒り・気力の低下・絶望感・自己卑下
身体的なPMSの症状
身体がだるい・頭痛・便秘・過眠・不眠・過食・吐き気・眠気
PMDDの発症原因
PMDDの発症のプロセスは、まだ完全には解明されていませんが、
女性ホルモンの一種、プロゲステロン(黄体ホルモン)、または、その代謝産物のどちらかの作用で、
感情、食欲、睡眠などをコントロールする、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少するために引き起こされる
と考えられています。
つまり、PMDDとPMSの症状の差は、セロトニンの減少量の差だとも言えます。
また、結婚や出産、ライフスタイルの変化などが引き金になって、PMDDを発病することもあります。
PMDDと鬱(うつ)の違い・比較
- PMDD⇒生理の周期に合わせて発症する
- うつ⇒生理の周期に関係なく症状が続く
閉経していない女性の約50~70%がPMS症状に悩み、そして約5%の方がPMDD症状で悩んでいるといわれています。
PMDDとうつ病では、症状は似ていますが、原因も治療方法も違うので、見極めが大切になります。
月経前以外の時期には症状が治まり、普段通りの生活が営めるのが、PMDDと一般的な鬱病との大きな違いです。
PMDDは、月経前だけに起こる鬱病(うつびょう)とも言えます。
月経前不快気分障害なのかを確かめるチェックテスト
PMDDかどうかの判断・条件
PMDDの場合、症状が発生する期間が、限られています。
- 生理の約2週間前(排卵日の2~3日後)から、生理開始1~2日ぐらいまでの間に症状が現れる。
- 生理開始後、遅くても3日目位で治まり始め、生理後一週間は現われない。
PMDDのチェック項目
- 自分を制御・コントロールできない
- 激しいうつ状態におちいる
- 自分はだめだと否定したくなる
- 強い絶望感に襲われる
- 不安で不安でどうしようもなくなる
- 死にたいと思う気持ちに襲われる・自殺衝動にかられる
- 著しく緊張した状態になる
- イライラしてしょうがなくなる
- 精神的な圧迫感がつきまとう・何かに圧倒される感じがする
- 突然悲しくなる、涙が出る、号泣する等、情緒不安定になる
- 他人からの否定に強く傷つく・人の言葉などにひどく傷つきやすくなる
- 怒りっぽくなる・怒りがずっと治まらない
- 攻撃的になる
- 家事、仕事、友人、趣味等の日常生活で気力や興味がなくなる
- 物事に集中することが困難になる
- 引きこもりがちになる
- すぐに疲れる・だるくなる
- 激しい倦怠感がある
- 判断力・集中力が低下する
- 食欲が大きく変化する
- 特定の食べ物が欲しくてたまらなくなる
- 過食になる・食欲を抑えられない
- 異常に眠くなる
- 眠れなくなる
- 性欲を抑制できない
- 性欲が減退する
- 下腹部が痛い・重い・張る
- 乳房が張る・痛い
- 頭が痛い・重い
- 関節が痛くなる
- 手足がむくむ
- 便秘になる
5つ以上あてはまる場合は、PMDDであることが疑われ、その数が多いほど症状の程度が重症であると言えます。
(アメリカ精神医学会「PMDDの定義」DMS-Ⅳを元にり作成)