OC服用によるホルモン依存性の副作用
1) OC服用によるホルモン依存性の副作用
表3にホルモンに依存する副作用を示す。これらの副作用がみられた場合、OCの含有するホルモンの生物学的活性と量を考慮して、他剤に切り替えることによって解決することがある。また、女性のホルモン環境は主としてエストロゲンとプロゲステロンの2種類で構成されており、当然のことながらこれらのホルモンバランスが女性によって若干異なることを考慮しておく必要がある。例えば、エストロゲン優位、プロゲステロン優位、アンドロゲン優位なタイプなどに分けられるので、エストロゲン優位なタイプにはエストロゲン活性の少ないOCを、プロゲステロン優位な女性にはプロゲストーゲン活性の少ないOCを選択すべきである。また、アンドロゲン優位な場合、とくに思春期からの移行期でニキビや多毛などの男性化症状を示す場合には、男性ホルモン活性の少ないOCを選択すべきである。(表4)。
表3.ホルモン剤投与によりみられるホルモン依存性の副作用
エストロゲン依存性
悪心・嘔吐
頭痛
下痢
水分貯留
脂肪貯留
帯下増加
経血量増加
肝斑
血圧上昇
プロゲストーゲン依存性
倦怠感
抑うつ感
乳房緊満感
月経前緊張症様症状
性欲低下
経血量減少
アンドロゲン依存性
体重増加
ニキビ
性欲亢進
食欲亢進
男性化症状
表4.生物学的ホルモン活性について、ノルエチステロンを基準にしたDickey(1994)の報告
*1 ヒト子宮内膜の空胞形成による(但し、デソゲストレル、ゲストデン、
レボノルゲストレル、ノルゲスチメートはエストロゲンで前処置したウサギに
経口投与したときの子宮内膜作用をレボノルゲストレル5.3と対比) *2 ラット腟上皮法(経口) *3 ラット前立腺腹部法(経口) *4 女性の50%が20日間出血を抑制できる推定量
2) その他の副作用
ホルモン依存性の副作用以外にも、OC服用者における高血圧のリスクの上昇、耐糖能の低下(インスリンの感受性の低下)、ポルフィリン症、肝障害(胆汁うっ滞性肝障害)、脂質代謝異常(高トリグリセライド血症)、角膜厚の変化(コンタクトレンズの視力・視野の変化及び装着時不快感)などが報告されている。
http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/JYOSEI/PILL/doctor/section_1.htm#2