低用量ピルについてのまとめ
ピルとは?低用量ピルとは?
ピルとは~The Pill
ピルとは、英語で、錠剤という意味です。
アメリカで、『the pill』と言えば、経口避妊薬を意味します。
経口避妊薬のことは、英語では、【Oral Contraceptives】と呼びます。
略して【OC】ですね。
ピルは、避妊をする為の薬ですから、毎日、規則正しくきちんと服用すれば、ほぼ100%に近い避妊効果が得られます。
ピルには3つの働きがあります。
- 排卵を抑制する
- 受精卵を着床しにくくする
- 精子を子宮に入りにくくする
ピルは、女性の卵巣でつくられる「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」という、2つの女性ホルモンの作用を利用して、妊娠を防ぐ薬です。
- 卵胞ホルモン=エストロゲン
- 黄体ホルモン=プロゲステロン(プロゲストーゲン⇒人工の黄体ホルモンです)
通常、女性ホルモンは、脳の司令を受けることで、卵巣から一定のリズムで分泌されます。
ところが、ピルによって、体外から女性ホルモンを取り入れると、脳はすでに必要なホルモンが分泌されているものと勘違いをして、卵巣にホルモン分泌の指令を出さなくなります。
つまり、
ピルは、女性の体内に、排卵後と似たようなホルモン状態を作り出すことで、排卵が起きないようにする薬なのです。
『低用量ピル』と『ピル』との違い
低用量ピルは、低用量経口避妊薬
英語では、【Combined Oral Contraceptives : COC】
となりますが、
現在では、
【ピル=低用量ピル】と思ってください
ピルは、1960年にアメリカで初めて発売されました。
当時は、ホルモン量の多い高用量ピルが使われていました。
その後、ホルモン量を減らした中用量ピルが作られ、1970年以降になると、低用量ピルへと改良されました。
現在では、中用量ピルは不妊症やホルモン異常などの治療薬として使われ、
低用量ピルは経口避妊薬として世界的に使用されています。
また、日本で使用できるのは、低用量ピルです。
ですので、
OC(経口避妊薬)と呼ぶ場合には、低用量ピルのことを意味します。
中用量・高用量のピルを、OCということは、通常はありません。
低用量ピル~低用量とは
「低用量」とは、1錠中のエストロゲン(卵胞ホルモン)の含有量が50μg未満という事です。
- 高用量ピル⇒卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が、50 μg より多い
- 中用量ピル⇒卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が、50 μg
- 低用量ピル⇒卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が、50 μg より少なく30μgより多い
- 超低用量ピル・・・エストロゲンが30μg未満のもの
- ミニピル・・・エストロゲンが含まれないもの
μgとは
μg=『マイクログラム』です。
『ミリグラム』の1000分の一です。
1mg → 1000μgなので 0.015mg → 15μgとなります。
1000μg=1mg⇔0.001mg=1μg
1mg=0.001g⇔1000mg=1g
販売されている低用量ピル
トリキュラー、アンジュ、オーソ、シンフェーズ、マーベロン、ラベルフィーユ、ファボワール
3世代ある低用量ピル
低用量ピルに使われる卵胞ホルモンは、すべてエチニルエストラジオール(EE)ですが
黄体ホルモンには3種類あり、開発の順番により、
- ノルエチステロン(NET)を用いたものが第一世代
- 第一世代ピルについて
- レボノルゲストレル(LNG)を用いたものが第二世代
- 第二世代ピルについて
- デソゲストレル(DSG)を用いたものが第三世代
- 第三世代ピルについて
と呼ばれます。
低用量ピルのメリット・長所
低用量ピルは、規則正しい服用をすれば、ほぼ100%に近い避妊効果が得られます。
そして、その他にも、さまざまなメリットがあり、注目されています。
- 低容量ピルは、排卵サイクルのコントロールが可能なため、生理周期の乱れや、生理痛の緩和目的でも使われます。
- 正常な生理周期を得ることが出来るので、ホルモンバランスの乱れから起こる精神不安や、肌荒れといった症状にも効果があると言われています。
- 子宮内膜変化を抑えることから、子宮内膜症などの予防・治療にも使用されています。
- 黄体ホルモンの作用で子宮の内膜が安定するので、不正出血の頻度が非常に少なくなっています。
- 出血が起こるべき休薬期間(プラセボ服薬期間)に、確実に生理様の性器出血が起こるため、『生理がなかった』という不安がなくなります。
- 『生理様の出血がある』=『妊娠していない(避妊できている)』という安心感が持てます。
- 低用量ピルの継続使用は、排卵抑制作用と子宮内膜を薄く維持する作用によって、卵巣がんや子宮体がん等、女性ホルモンが関係するシリアスな病気のリスクを半減させる作用も期待できます。
低用量ピルは、女性ホルモンをコントロールして、月経痛や月経前のイライラの改善等、月経トラブルの治療薬としても有効です。
自費治療に用いられる、子宮内膜症が原因の痛みの緩和等、多くのメリットがあります。
- 重い生理痛が軽くなる
- 生理の出血量(経血量)が減り、貧血も改善される
- ニキビが良くなる
- 子宮内膜症の悪化を防ぐ
- 卵巣がん、子宮体がん、乳房良性疾患のリスクが減る
- 骨粗しょう症の予防に有効
- 女性に多い関節リウマチを予防
低用量ピルの中には、子宮内膜症に伴う月経困難症(月経痛)と、子宮内膜症の存在が確認できない機能性月経困難症の治療薬として健康保険の適用が認められた薬もあります。
低用量ピルのデメリット・短所
LNG:レボノルゲストレル(黄体ホルモン) には、男性ホルモン作用が若干あるようで、服用開始当初はニキビ(大人のニキビ)がでる方がいます。
生理様の出血の量自体はあまり減らないため、過多月経(生理の量が多い)や生理痛の緩和の効果は、それほど得られません。
低用量ピル(OC)の買い方
低用量ピルには、健康保険で買えるものと買えないものがあります。
健康保険で買える低用量ピル
健康保険を使って、低用量ピルが欲しい場合には、医師の処方箋が必要です。
まず、婦人科や産婦人科で受診し、医師による問診や血圧測定を受け、問題がなければ処方してもらえます。
子宮がん、乳がん、性感染症の検査などは、低用量ピルを処方してもらうために、必須というわけではありません。
2006年2月までは、色々な検査を受ける必要がありましたが、ガイドラインが改訂されてからは、基本的には問診と血圧測定だけで簡単に手に入るようになったのです。
健康保険を適用してピルを入手する場合は、処方期間や使い方に制限がありますが、月経周期に合わせ、6周期分を一度に処方してもらうこともできます。
費用は保険適用の場合なら、1周期分(1シート)で2000~3000円が相場です。
内科、皮膚科で処方してもらえる場合もあります。
低用量ピルを使えない場合
ピルはほとんどの女性が服用できます。
低用量ピルを使うと危険な女性とは
- 乳がん、子宮体がん、子宮頸がんにかかっている
- 35歳以上で1日に15本以上のタバコを吸う
- 高血圧症である
など、症状や状態によっては服用できなかったり、注意して飲む必要があったりする人です。
タバコを吸う人は、OCの服用を目標に医師のサポートを受けながらタバコを減らすというのも良いでしょう。
妊娠したい時~避妊をやめたい時
ピルの服用をやめると、抑えられていた卵巣の働きが再び活動を始め、本来の生理周期が回復して排卵が起こるようになります。
早ければ服用を中止した直後から、通常は2~3か月で妊娠が可能になります。
もちろん、ピルを飲んだために、将来、妊娠できなくなるということはありません。
ピルは、排卵コントロールが出来るので、望んだ時に妊娠するための方法なのです。