ピルと健康保険
ピルと健康保険
避妊のために低用量ピルをもらいたい時、健康保険は使えるの?
答え=使えません
理由=避妊は、病気の治療ではないから
ピル(経口避妊薬)は、病気の治療を目的とした薬ではないので、病院、クリニック等の医療機関でピルを購入する際に、健康保険は適用されません。
つまり、3割負担でピルを買うこと出来ない訳です。
保険適用外の場合、経口避妊薬に必要な費用は、1ヶ月で3000円前後が多いようです。
じゃ、健康保険証は必要無いの?
答え=必要です
理由=ピルの費用は、10割の全額負担ですが、ピルを処方してもらうための検査自体は、保険適用の3割負担で出来るからです。
健康保険証を持っていかないと、初診料、検査料等も全額負担になり、5000~10,000円位になってしまうと思います。
ちなみに、ピル処方時に最低限必要な検査・診察は
- 医師の問診
- 体重測定
- 血圧測定
です。
受診先は、産婦人科か婦人科になりますね。
血液検査や子宮の検査などは、通常は必要ありませんが、病院によって色々かも・・・。
健康保険が使えるピルは無いの?
避妊目的の場合は、健康保険は適応されませんが、病気の治療が目的でしたら保険適用となります。
月経困難症のように、日常生活に支障が出るほど生理痛が重い場合は、治療が必要と判断され、保険が適用されます。
子宮筋腫・子宮内膜症の治療にも、中用量ピルが処方されることがあります。
こうした婦人科系の病気では月経時の出血量が増えたり痛みがひどくなることが多いため、それを緩和する薬として処方されるのです。
この場合、処方された中用量ピルは、子宮筋腫や子宮内膜症といった病気の治療が目的となりますので、健康保険適応になります。
また、緊急避妊剤の『ノルレボ』が2011年に販売されるまでは、『緊急避妊』の為に、【医師の判断と責任】で、中用量ピルが処方されていました。
中用量ピルを使った、『緊急避妊法』は、ヤッペ法と呼びます。
緊急避妊について=リンク
月経困難症とは
健康保険が適用できるピル
保険適用が適用できる低用量ピルは、2種類あります。
- ヤーズ配合錠
- ルナベル配合錠
でも、実は、オーソM-21とルナベルLDは、中身が全く同じなのです。
μg=マイクログラムとは
PMDDとは
月経前症候群(PMS)の中でも特に精神症状の強い症状
EP配合薬
”E”は、エストロゲン(合成卵胞ホルモン)の”E”
”P”は、プロゲストーゲン(合成黄体ホルモン)の”P”
ルナベル配合錠
ルナベル配合錠は、子宮内膜症に伴う月経困難症にも健康保険の適用がある、低用量EP配合薬です。
一般的な低用量ピルと同じ成分が配合されています。
ルナベルは、含有量は違いますが、低用量ピルのオーソMやシンフェーズと同じ成分の薬剤です。
ただ、子宮内膜症の月経困難を改善するという保険適用される初めての薬だっただけです。
保険が利くピルは、ルナベルという商品名で、子宮内膜症に伴う月経困難症に対して使えます。
ルナベルはなぜか1錠333円もするので、3割負担だと1日100円、1か月に21日服用するので、2100円。
これに、薬局の受付料みたいのが掛かってくるので、避妊用ピルと、金額的には差がなさそうですね。
ほとんどの低用量ピルは避妊を効果・効能として届けている=治療薬ではないため、健康保険の適用はありません。
ルナベルだけは子宮内膜症に伴う月経困難症の保険治療薬として認可されているため保険の適用があります。
ただ、他の方もおっしゃっているように、ルナベルは薬価が高いので支払額は結局2000円以上になります(332.9円/錠×21錠×30%=2097円)。
ルナベルはオーソMやシンフェーズと同じ成分です。
特に、オーソM-21とルナベルLDは、成分はもちろん、含有量も全く同じ薬剤なのです。
ルナベル配合錠LD LUNABELL tablets LD ノーベルファーマ 2482009F1031 336.6円/錠X21 処方箋医薬品 薬効分類名 月経困難症治療剤
ヤーズもルナベルも、どちらも28日間を1周期とし毎日1錠ずつ服用しますが、実薬をのむ日数が異なります。
ピルにかかる費用
「経口避妊薬」として認められている低用量ピルは保険適用外になるので、実費になります。
ピルの値段は一か月で2~3000円程度です。
低用量ピル4周期分の保健調剤患者負担金額=7350円、となっています。
7350円の内訳を保険点数で表すと、
・調剤技術料117点
・薬学管理料 30点
・薬剤料 588点⇒計735点です。
ワンシートの料金は588÷4×10=1470円、のようです。
加えて、調剤技術料+薬学管理料(117+30)×10=1470円が
1回の処方に対して加算される、ということのようです。
保険証がなかったら・・・
産婦人科、婦人科のある医院で、保険証なしで処方可能か聞いてみる⇒当然全額負担になります。
知り合いに健康保険証を借りる⇒法律違反です。
ピルを入手したことを誰にも知られたくないなら・・・
ピルを使うことを秘密にしたいなら、健康保険は使わないことです。
特に、社会保険の場合は国民保険に比べ、他人にい知られてしまう可能性が高くなります。
病院への通院・受診の記録通知を隠すことはできるのか?
通常であれば、病院名、医療費の総額、支払い金額等が記載されるはずです。
使用目的等の細かい内容は記載されませんが、病院で、記録に載せないようにしてもらうのは不可能です。
誰かに健康保険証を借りるのは、犯罪になりますよ。
一部負担金とは
保険証等を提示して保険医療機関で医療を受けたときや保険薬局で薬の調剤をしてもらったときは、保険医療機関等の窓口でかかった医療費の一部を支払います。
これを一部負担金と言い、本人・家族、入院・外来にかかわらず、年齢等によってその負担割合が区分されています。
つまり、一般的にピルを使用する年齢層の女性は、3割負担ということです。
※平成26年3月31日以前に70歳になった被保険者等(誕生日が昭和14年4月2日から昭和19年4月1日までの方)については、引き続き一部負担金等の軽減特例措置の対象となるため、平成26年4月1日以降の療養に係る一部負担金等の割合は1割のままです。
こんな場合は健康保険給付が制限されます
次のような場合の病気やケガについては、健康保険制度の健全な運営を阻害することになりますので、給付が受けられなかったり、一部を制限されることがあります。
- 犯罪行為や故意に事故(病気・ケガ・死亡など)を起こしたとき
- ケンカ、酒酔いなどで病気やケガをしたとき
- 正当な理由もないのに医師(病院)の指示に従わなかったとき
- 詐欺、その他不正に保険給付を受けたり、受けようとしたとき
- 保険者の指示する質問や診断を拒んだとき
- 少年院や刑事施設などにいるとき(健康保険給付を行うことが事実上不可能なため、支給されません。ただし、埋葬料と被扶養者への支給は行われます)