女性ホルモン~天然と合成の違い

ピルに使われるのは合成の女性ホルモンです

ピル(経口避妊薬)とは、黄体ホルモンと、卵胞ホルモンという2つの女性ホルモンが持つ、作用・特性を利用して、避妊を行う薬です。

当然、ピルの主成分は、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)になります。

ただし、使われるのは、”天然”ではなく、”合成”のホルモンです。

合成ホルモンの中身とは

ピルは

  • エストロゲンのような作用を持つ、合成の卵胞ホルモン
  • プロゲステロンのような作用を持つ、合成の黄体ホルモン

の2つを組み合わせた薬剤です。

『~のような』と言うのは、天然のプロゲステロンやエストロゲンがそのまま製剤に配合されているのではなく、合成品の誘導体が使われているからです。

卵胞ホルモン成分

【エストロゲンのような作用を持つ卵胞ホルモン成分】としては、

エチニルエストラジオールのみが使われています。

黄体ホルモン成分

【プロゲステロンのような作用を持つ黄体ホルモン成分】としては、

ノルエチステロン・レボノルゲストレル・デソゲストレル・ドロスピレノン、1~4世代まであります。

世代別のプロゲスチン

合成黄体ホルモンは、プロゲストーゲンと呼ばれます。

天然黄体ホルモン=プロゲステロン

合成黄体ホルモン=プロゲスチン(プロゲストーゲン)

プロゲストーゲンとは、黄体ホルモンと同じような作用を有する合成品などの総称です。

天然の女性ホルモンが使われない理由

プロゲステロン(天然黄体ホルモン)は、

筋肉注射によってのみ、生物学的効果が期待される

内服の方式で目的を達するには、1日に500mg以上の大量投与が必要で、実際の臨床上の経口薬剤としての使用は困難

からです。

その為、経口投与によっても強力な生物学的作用を有する、合成黄体ホルモン=プロゲストーゲンが使われるのです。

エストロゲンも、また、同様です。

プロゲステロン~黄体ホルモンの詳細エストロゲン~卵胞ホルモンの詳細

排卵抑制の機序

ピルを内服すると小腸で吸収されて、プロゲステロン作用のある合成黄体ホルモン(ノルエチステロン・レボノルゲストレル・デソゲストレル・ドロスピレノン)と、エストロゲン作用のある合成卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)が

体の中を循環する。

そして、間脳、下垂体にある卵巣ホルモンのレセプターに働き、間脳と下垂体は血液中に十分な濃度のホルモンがあると

認識する(勘違い)する。

したがって、卵巣を刺激する必要が無いと判断し、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)や性腺刺激ホルモンの分泌を

低下させ、結果、卵胞の発育は抑えられ、排卵も卵巣からのホルモンの分泌も抑制されれる。

それぞれのホルモンの役割

ピル開発当初は、排卵の抑制はプロゲストーゲンのみによると考えられていた。

エストロゲンはプロゲストーゲンの合成過程で生じる、ついでに出来たものと思われていた。

その後、エストロゲンにも強い排卵抑制作用があることが知られてきた。

エチニルエストラジオール(合成卵胞ホルモン)は、卵胞の発育抑制、成熟卵胞の形成阻害等で、結果的に排卵を抑制する。

つまり、一定のエストロゲンを使うことで、プロゲストーゲンの使用量を減量でき、副作用も減らせる。

エストロゲンで排卵抑制

プロゲストーゲンの追加投与で、月経周期を繰り返す。