緊急避妊法とは?

緊急避妊法:Emergency Contraception(EC)

緊急避妊法(EC)とは、避妊をしないでセックスしてしまったとか、コンドームが破けて膣の中に精子が出てしまったとか、レイプ(暴行)のように、無理やり犯されてしまった等、妊娠してしまう危険が高い時に、妊娠を防ぐ方法です。

緊急避妊法の”法”とは、医師法とか、薬事法とかの『法律』の”法”ではなく、『方法』の”法”です。

日本産科婦人科学会では、緊急避妊法を

緊急避妊法(EC)とは、

避妊措置に失敗した後、または、避妊措置を講じなかった性交(Unprotected Sexual Intercourse: UPSI)の後に

緊急的に用いるものであり、

通常の経口避妊薬のように計画的に妊娠を回避するものではない

最後の避妊手段である。

と、定義しています。

緊急避妊の方法は3種類あります

  1. ホルモン配合剤(ノルゲストレル+エチニルエストラジオール)⇒ヤッペ法と呼ばれます
  2. 銅付加子宮内避妊具(Copper-bearingIntrauterine Device:Cu-IUD)
  3. LNG(レボノルゲストレル)単剤(0.75mgx2又は0.5mgx1)⇒ノルレボ法と呼ばれます

厚生労働省が正式に承認していて、緊急避妊ピル(Emergency Contraceptive Pills:ECP)と呼べるのは、

『ノルレボ:Norlevo』という、レボノルゲストレル(合成黄体ホルモン)のピルです。

日本におけるホルモン剤による緊急避妊の簡単な歴史

1960年代初頭

1960年代初頭から、高用量エチニルエストラジオール(合成卵胞ホルモン)の経口投与が利用され始めたが、悪心や嘔吐などの副作用が発現していました。

1977年

1977年には副作用の軽減を目的としてエチニルエストラジオールとdl-ノルゲストレル配合薬を経口投与するヤッペ法(Yuzpe法)が開発されました。

ノルゲストレル(Norgestrel)とは、ホルモンによる避妊に用いられるプロゲスチン(合成黄体ホルモン)である。

d-ノルゲストレルとl-ノルゲストレルの2つの立体異性体の混合物であり、l-異性体(レボノルゲストレル)のみが活性を持つ。

l-異性体は、レボノルゲストレルと呼ばれる。

そのため、医薬品においては、異性体の存在を無視してレボノルゲストレルの含量のみを記載することもある。

1998年

WHOによって実施された1998年の国際大規模多施設共同臨床試験の結果から、

レボノルゲストレルのみを使う緊急避妊法(初期のノルレボ法)は、ヤッペ法に比べて効果が高く、安全性にも優れていることが確認されました。

初期のノルレボ法⇒レボノルゲストレル(LNG)の0.75mg錠を1錠服薬し、12 時間後に、再度1錠服薬する、2回投与法です。

2002年

WHOによって実施された2002年の国際大規模多施設共同臨床試験の結果から、

レボノルゲストレルの用法は12時間間隔で、0.75mgを分割投与する方法より、合計の1.5mgを一度に服薬する単回投与でも、問題がないことが確認されました。

⇒現在のノルレボ法です。

2011年5月

フランスでは、すでに1999年には承認販売されていた、レボノルゲストレル0.75mg錠の『緊急避妊薬ノルレボ:NORLEVO®』が、やっと、日本でも承認販売されるようになりました。

2015年現在、最も安全で有効な緊急避妊の方法は、

ノルレボまたはノルレボのジェネリック薬(レボノルゲストレル0.75mg錠)を

一度に2錠服薬する方法

つまり、

”ノルレボ法”です。

緊急避妊を行った理由ランキング

緊急避妊が必要な具体例

  • コンドーム(スキン)を使わないで生でセックスをした等避妊をしない性交の後
  • 経口避妊薬(ピル)の服用を忘れた時
  • 下痢などによるピルの吸収障害
  • レイプや性的暴行をされた後
  • 腟外射精に際しての外陰部への射精
  • コンドームの破損・脱落・不適切な使い方の後
  • その他の避妊具の不適切な装着・破損・脱落
  • 性交後 8 時間以内で避妊用ペッサリーをはずしてしまった時

日本は緊急避妊の後進国です

緊急避妊薬は、2006年10月30日現在、国連加盟国192カ国中114カ国で既に承認されていました。

その時点での未承認国にはイラン、イラク、アフガニスタン、北朝鮮等の名前がありますが、なんと、日本の名前もあったのです。

2011年2月23日に、厚生労働省が緊急避妊薬の『ノルレボ』を承認し、5月24日に発売されるまで、日本には、公式に承認された緊急避妊用の薬剤はありませんでした。

つい最近まで、世界各国では当たり前の『緊急避妊』が、日本では公式には認められていなかったのです。

日本は、先進国として緊急避妊を承認していない唯一の国で、北朝鮮よりも対応が遅かったのです。

『ノルレボ』は、世界保健機関(WHO)から緊急避妊目的の必須医薬品に指定されている薬です。

フランスでは、すでに1999年には、世界で初めて『ノルレボ』を承認しています。

承認前の緊急避妊の方法

緊急避妊薬『ノルレボ』が、平成23年2月23日厚生労働省に承認されるまでは、

” 医師が自分の判断で、責任を負う形で ”、緊急避妊を行っていたのです。

緊急避妊の方法は2種類でした。

  • 【ノルゲストレル、エチニルエストラジオール】と呼ばれる女性ホルモンの配合剤を使う、又は、同じ内容の中用量ピルを使う(”ヤッペ法:Yuzpe”と呼ばれます)
  • ~ヤッペ法の場合は、月経困難症や月経周期異常の治療薬として使用されている『プラノバール(PLANOVAR)』という、中用量ピルが使われます。
  • 銅付加子宮内避妊具(copper-bearing intrauterine device : Cu─IUD)を利用する

緊急避妊法を使ったほうがよい場合

※ IUD/IUS=子宮内避妊具・UPSI=無防備な性交

緊急避妊法の別の呼び方について

日本では、モーニングアフターピル(morning-after pills)、性交後避妊(post-coital contraception)などの言葉が使われることが多いのですが、エッチ(セックス)は必ず夜行われる訳ではないので、その翌朝に使う薬剤を意味するモーニングアフターピルや、性交直後である必要もないことから、性交後避妊などの用語は不適当であるとの理由で、緊急避妊法(EC)と呼ぶことが一般化しています。