受動喫煙と子供への影響

受動喫煙(じゅどうきつえん)による健康への影響

受動喫煙と赤ちゃんへの影響~発がん性物質:コチニン

赤ちゃんは、家庭の空気環境中に存在するタバコの煙(主流煙・副流煙)を吸い込み、それを体に吸収し、代謝し、尿中に出しています。

コチニンは体内にニコチンを摂取すると代謝されて尿中に排泄させる発がん性物質です。

家族に喫煙者がいる赤ちゃんの尿からは、コチニンが大量に認められます。

非喫煙家庭の子どもの尿に含まれるコチニン量との比較

子どもの尿中コチニン量は

  • 家屋内で自由に喫煙している家庭⇒15.2 倍
  • ドアや窓を開けたり換気扇下で喫煙したりしている家庭⇒10.3 倍
  • 屋外や換気扇の下で喫煙している家庭⇒3.2 倍
  • 屋外だがドアや窓を開けている家庭⇒2.4 倍
  • ドアを閉めて屋外で喫煙する家庭⇒2.0 倍

母親から胎児(たいじ)への直接受動喫煙と低体重児出産

母親自体が喫煙者の場合、一酸化炭素やニコチンは、胎児への酸素の流れを阻害し、子宮から臍帯(さいたい=へその緒)への血流を減少させます。

妊娠中に母親が喫煙していると、低出生体重児が生まれるリスクが上昇します。

受動喫煙を受けた妊婦と低体重児出産

妊婦自身はタバコを吸わなくても、家庭や職場など様々な環境で受動喫煙を受ける可能性があります。

受動喫煙のない妊婦から生まれた子に比べて、受けている妊婦から生まれた子は、出生時体重が 40~50g軽くなります。

重量の減少は、タバコの煙の害により、へその緒からの栄養供給が不足した結果です。

この事実は受動喫煙環境を放置することにより、低出生体重児の数が増えることを意味します。

喫煙と乳児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)

乳児突然死症候群 SIDS は、乳児が前ぶれもなく突然死亡する疾患です。

タバコの煙は、SIDS の主な危険因子であることが見いだされています。

妊娠中に母親が喫煙すると、慢性的に胎児が低酸素症になるため、胎児の中枢神経系の発達が悪くなり、心臓呼吸系の調節が障害されると考えられます。

ニコチンは、乳児の自律神経ホルモン(カテコラミン)代謝や低酸素への反応を変える可能性があるとの指摘もあります。

母親の妊娠中の能動喫煙は勿論ですが、

母親の受動喫煙や、出生後の乳児の受動喫煙もSIDS の危険性を高めます。

受動喫煙と子供の発育

受動喫煙を受けた子どもの脳の機能

  • 胎児の脳への影響~妊娠している非喫煙女性への受動喫煙よる場合
  • 出生児の脳への影響~子供自身の受動喫煙の場合

どちらの場合も、子供の神経・心理学的欠損を引き起こす可能性があります。

  • タバコ煙のニコチンは興奮剤として、子どもの中枢神経系へ直接的に影響を与えます。
  • タバコ煙に含まれる一酸化炭素は、子どもの中枢神経系へ慢性的曝露がおこり、さらに悪影響を与えます。
  • タバコ煙への曝露は血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度を増加させ、子供の心理機能に悪影響を及ぼします。

「曝露/暴露」

化学物質や物理的刺激などに生体がさらされることです。

食品や水などを介した経口的なもの、呼吸によるもの、土壌との接触による経皮(皮膚を通じて)などの経路があります。

医学用語では、【好ましくない物質、病原体、薬剤】に

人体が

【さらされる/接触すること、薬剤を服用する/投与される】

ことです。

受動喫煙を受けた子どもの身体発育

身長への影響

妊娠中に、10本以上のタバコを吸っていた母親の子どもでは 0.7~1.0cm の身長低下が観察されます。

身長の差は特に、母親の能動喫煙による子宮内曝露に関連しています。

受動喫煙を受けた子どもの気管・呼吸器・気道等の疾患

小児期に受動喫煙にさらされると、成人になって健康問題を引き起こす可能性があります。

出生前ないし小児期における受動喫煙への曝露が、成人になってからの肺機能低下および呼吸器障害と関連しています。

小児期の曝露により、成人で慢性の咳や痰のほか、喘息の発症が予測されます。

受動喫煙は

  • 小児の喘息発生のよく知られた危険因子である
  • 繰りかえす呼吸器感染症(風邪)にかかりやすくなる
  • 気道過敏性亢進の原因となる
  • アトピーとアレルギー関連抗体(IgE)増加のリスクを増大させる
  • 気道に炎症を引き起こす

気管支喘息の悪化

気管支喘息は、非常に罹患率の高い疾患です。

タバコ煙への慢性的な曝露は、子どもの気管支喘息の新規発症を引き起こします。

また、受動喫煙にさらされていた子どもは、喘息が悪化しやすく、救急外来を受診する頻度が1.6 倍高くなり、喘息の重症度も悪い傾向が認められます。

呼吸器感染症

小さい子どもの急性下気道感染症(肺炎・急性気管支炎)の危険性は、受動喫煙により1.5~2 倍増加します。

慢性呼吸器症状(咳・たん・喘鳴)

喫煙しない親の子どもと比較して、喫煙する親の下で育てられた子どもでは、咳、たん、ゼイゼイを主とする呼吸器症状が 1.2~1.8 倍高頻度に認められます。

肺の発達低下

子どもの肺はタバコ煙に対して、特に感受性が高くなります。

受動喫煙に曝露された子どもは、そうでない子どもに比べて、肺の成長が低下します。

この傾向は、母親からの受動喫煙を受けた子どもに顕著です。

中耳炎

親のタバコ煙にさらされた子どもは、慢性中耳炎の頻度が、そうでない子どもよりも 40%も高くなります。

重症の慢性中耳炎は、子どもの聴力を永久に奪います。