低用量ピルとタバコの関係

喫煙者の低用量ピル使用と危険度

低用量ピルを服用しながらの喫煙は、血栓症や他さまざまな疾患のリスクを非常に高めます。

WHO(世界保健機関)の、低用量ピルに対する医学適用基準では、「35歳以上で15本以上の喫煙」はハイリスクグループ(H-4)に属します。

なので、日本の添付文書にも禁忌とされてます。

喫煙女性の死亡リスク

低用量ピルを服用すると、血液凝固機能が高まるため、心筋梗塞や血栓症などの循環器系の副作用の発症が、

【35 才以上で 1 日 15 本以上喫煙する女性】に集中しています。

ちなみに、ニコチンパットやニコチンガムも同様の危険性があります。

循環器疾患(心筋梗塞など)の死亡率が、非喫煙者と比べて

  • 20代で2倍
  • 30代で3倍以上

となります。

低用量ピル使用の際、喫煙者の死亡リスクは、非喫煙者の167倍にもなります。

その為、35 才以上の女性が禁煙できない場合は、他の避妊法を選択することが重要です。

OC服用と日常生活・行動におけるリスクの比較

日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」より

健康で煙草を吸わない女性にとっては、低用量ピルの服用によって、血栓症を引き起こすリスクはほとんどありません。

女性とタバコの悪影響

タバコの煙に含まれる成分について

タバコの煙は、粒子やガス状になった化学物質の集合体です。

4000種類の化学物質、 200種類の有害物質、60種類の発がん性物質が、タバコの煙に含まれています。

表1にはタバコの煙に含まれている化学物質のうち一部の例と、相当する身近な物質をあげる。

これらの有害物質を吸引した結果、喫煙者のだ液・血液・毛髪・子宮頸部粘液・精液などからは同様な有害物質や発がん性物質が検出される。

一般的に、男性と比較して、女性のほうが気道や肺胞の断面積が小さいため、同じ本数の喫煙でも、悪い影響が強く出ると考えられています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD・タバコ肺)、気管支喘息、肺がんになる可能性は男性よりも高い。

喫煙は、HDL コレステロールの低下、中性脂肪の上昇、交感神経刺激作用、フィブリノーゲン上昇、血小板凝集亢進を引き起こすほか、血管内皮を障害するなど、動脈硬化の発症に大きく関与していることが分かっている 2 0 )。

また、冠動脈攣縮の最大のリスク因子でもある 20)21 )。

心臓病による突然死とリスク因子の関係では、喫煙は年齢にかかわらず、また糖尿病や高血圧などと同じく、約 3 倍リスクを高めることが報告されている。

発がんに関しても、肺がん患者を対象とした研究により、女性の方がタバコに含まれる発がん性物質の影響を受けやすく、男性より少ない喫煙量でもがんを発生しやすいことが明らかになった。

2000 年~2005 年にかけてスイスのザンクト・ガレンにあるがん専門医療センターに紹介された肺がん患者を対象に行われた調査で、女性は平均的喫煙量が男性と比べて著しく少ないにもかかわらず、男性よりも低年齢で発がんする傾向が認められた。

「この結果は、女性の方が発がん性物質の影響を受けやすい可能性を示唆している」と 2009 年 5 月に開催されたヨーロッパ臨床腫瘍学会で発表された)。

1900 年代初頭には肺がんは女性ではまれであったとされているが、1960 年代から徐々に蔓延しアメリカ女性の死因となるがんの筆頭となっています。

なぜ女性が肺がんにかかりやすいのかは、完全には解明されていないが、女性は男性よりも発がん物質を始めとする化学物質への反応が強いことや、細胞のがん化につながる遺伝子変異を起こしやすいことなどがその原因として推定されています。喫煙開始年齢が若いほど、肺がんになる危険度も高くなることがわかっているが、これは遺伝子変異が長く蓄積されているためと考えられています。さらに、ニコチンに対する依存も男性よりも女性のほうが高くなる傾向がある 2。

喫煙が女性へ与える特有の悪影響

不妊

喫煙は不妊のリスクを高める。

これまで述べた理由の他に、喫煙は卵管の機能も障害します。

卵巣機能異常、月経異常、卵管機能異常、子宮粘膜異常、精子の異常などの結果として、喫煙する女性は不妊のリスクが2倍になります。

喫煙者は非喫煙者の 7 割しか妊娠能力がない(女性不妊の一因である)。

さらに喫煙は、不妊治療の効果を低下させます。

男女ともに禁煙すると、不妊のリスクは非喫煙者と同じまで回復する。

煙草と閉経

喫煙と早期閉経

喫煙する女性は、閉経年齢がより若い

40~ 44 歳の女性では、閉経のリスクが 2.1 倍であるとする報告もある。

この傾向は、喫煙本数が多くなるほど、喫煙期間が長くなるほど強くなります。

早期閉経によりエストロゲンのよい働きをなくし、喫煙する女性の将来の骨粗しょう症のリスクを高める(図 22)11)。

禁煙すると、早期閉経のリスクを軽減することになります。

喫煙と女性ホルモン

喫煙する女性では、エストロゲン産生の低下、エストロゲン代謝の促進、アンドロゲンの増加などが引き起こされ、抗エストロゲン作用をもたらすことが分かっています。

喫煙は、女性ホルモンの代謝を変えます。喫煙は、女性ホルモンであるエストロゲンが欠如した状態(早期の閉経)を作り出します。

喫煙は、エストロゲンの作用を軽減させる効果があると言えます。

その結果、喫煙する女性の体型や体毛はより「男性化」しやすいことも指摘される。

女性の体に吸収されたタバコ煙の有害成分は、女性ホルモンを分泌する卵巣に対して毒性を持つ。

様々なタバコ煙の作用により、喫煙する女性は「女性らしさ」を失い(体型や体毛の男性化)、早く老化するという結果をもたらします。

その結果、喫煙者では非喫煙者に比べて、約2年閉経が早まります。

米国で行われた看護師を対象とした研究では、喫煙者で閉経が早まることが、心血管疾患のリスク因子であると報告されています。

月経に関連した悪影響

■ 月経痛(月経困難)の悪化

喫煙する女性は、非喫煙の女性より月経に伴う痛みの期間が 1.5~2 倍増します。

この悪影響は、喫煙本数が多いほど、喫煙期間が長いほど出現しやすい。

9 年以上喫煙している女性の月経痛悪化リスクは 3.4 倍も増加すると報告されています。

タバコをやめると、この悪影響はなくなります。自分で吸わなくても受動喫煙だけでも、月経困難症は明らかに増加し、月経痛に悩まされる女性が増えます。

■ 月経不順

喫煙する女性は、月経が不順になりやすい。

一般に月経周期が短くなります。禁煙すると、非喫煙の女性と同じ傾向となります。

他にも無月経が多発し、不正性器出血や帯下を多くする。

経口避妊薬(ピル)

内服と喫煙

経口避妊薬(ピル)を内服する際、喫煙は禁忌である(喫煙してはいけない)。

喫煙しながらピルを内服すると、血栓症と虚血性心疾患のリスクが著明に上昇するからであります。

ピルを飲まない非喫煙者に比べて、ピルを飲みながら喫煙する女性は 90 倍も心臓病に罹患しやすい。

脳梗塞も 7.2 倍多いという報告もある。

わが国の経口避妊薬は、 35 歳以上で一日 15 本以上の喫煙女性への投与を

-90-

(倍)100

危険 50度0

非喫煙者に比べて喫煙してピルを飲むと心臓病発症リスクが著明に上昇する

喫煙と経口避妊薬(ピル)内服併用のリスク

British Medical Association: Smoking and reproductive life

http://www.bma.org.uk/images/smoking_tcm41-21289.pdf

禁じています。

喫煙した状態で、ピルを飲むとピルの効果も薄まり、避妊に失敗して妊娠してしまう機会が多くなる。