Shikatebukuro Kindergarten

Principal-in-charge : Fujino Takashi

Project team : Gunji Emi Fujino Namika Mazawa Naoki MoritaTatsuya

Consultants : Suzuki Akira/ASA Maniackers Design

Design : 2017.01 – 2017.06

鹿手袋の保育園

私が,この街区で施主と関わるようになって13年になる.スタッフ時代に2棟(古民家の改修,木造住宅),独立後に3棟(RC造の長屋とオフィス,江戸時代からの蔵の改修).かつては人通りも少ない地域だったが,街区の建物や屋敷林が整備されるにつれ,子供からお年寄りまでたくさんの人を見かけるようになった.施主は,自ら街区に手を加えることで変わりつつある街の人の流れを感じ取り,その連鎖の先にこの計画を位置づけた.

認可外保育園である.敷地内で完結させず,周囲に建つ施主所有の幾つかの建物と連携しながら,子育て世代が暮らしやすい地域環境を目指す.保育園本体は面積を絞り,諸機能を他の建物に分散させる.本体には3〜5歳の保育室と園庭を,少し離れて厨房,その隣には誰もが利用できるカフェを.隣地のマンションの空室に0〜2歳児室,調乳・沐浴室を.長屋を絵本室に.蔵の二階は子育て相談室に.こうして保育園の機能は街区に分散する.

園舎は一枚のコンクリート板で上下に分かれ,大きな穴で繋がる.屋根の上は人工的な丘で,見晴し台で,ときどき観客席である.屋根の下には,鉄骨柱,樹木,塀の支柱,パラソルなど,様々な垂直線が3M間隔で規則正しく林立する.そのリズムは水平に反復し,保育園,カフェ,近隣の街並みへと,意識を外側へ向かわせる.

この建築が子供たちの想像力を,周りの街区,さらにはその向こうの世界へと広げるきっかけになればと思う.


設計:藤野高志 郡司絵美 藤野なみか 真沢直樹 森田達也

恊働:鈴木啓/ASA マニアッカーズデザイン

設計期間:2017.01 – 2017.06